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2025-11-01 09:17:00
前回(16)で述べられていた「直系家族型」という日本人の国民国家的背景に由来するところの、日本人である我々に「平等感覚が乏しい」という事情を、もっと例を挙げて書いておきたい。読んでくだされは、「ははあ、なるほど」とよくわかってくださるだろう。/私は、海外に行ったとき、同胞の日本人に会って、嫌な思いをすることが多い。懐かしく、信頼できるのに?日本語が通じるのに?・これって素晴らしいじゃないか。それはそうなのだが。お会いした相手がすぐに私に対して始めることがある。「私の身分・地位を確かめることである」(たいていの場合、自分の方はあいまいにしたままで)/「この心」はありありとわかる。「相手の身分・地位を確かめ、自分の身分・地位と引き比べて、『どちらが上位の人間か』まず確かめておかないと、そのあとのやりとりを虚心坦懐にできないからである」。/いつもどちらが上でどちらが下かを確信していないと、交際できない。初対面の同胞と会ったときにこの「習癖」が極端に前面に出るという次第だ。「上か下かわからない相手」にはおっかなびっくりになるのだ。他の民族はこれほど人見知りしないよ。これが国際的になると、相手が気が付いた時、相手の不信を招く。こう言ういきさつに、日本人の多くがナイーブなのである。
2025-10-30 05:31:00
10/29 ロイター配信 「イスラエル、ガザ停戦協定の履行再開と表明 空爆で104人死亡」。ツイートが338通ついていた。/停戦協定が結ばれたが、何者かにイスラエル兵士1人が殺害されたのと、ハマス返還による死亡した人質中の1人が別人だったのとを咎めて、イスラエルはガザを空爆し、104人を死亡させたという。/米国大統領がガザ停戦を実現させたと胸を張りたいのなら、こういう猛々しいガザ空爆など一切させないようにイスラエルをもっと強く制御すべきだろう。//高市首相は今度の首脳会談で、トランプ氏がノーベル平和賞候補になるよう支援するという「リップサービス」をしたが、首相はもっと国際関係の実態を考えるほうがよい。「少しはしゃぎすぎ」の評がネット上にあるが、やんぬるかだね。
2025-10-29 05:17:00
『トッド人類史入門』第2章「ウクライナ戦争と西洋の没落」から、第3の話題として「日米関係」をみてみよう。/家族型からみた国民性は、日本は直系家族型のため、日本は「兄弟を不平等に扱う」文化なので、「子供たちは不平等である、人々は不平等である、諸国民は不平等である」と「自然に」考えやすい。/日本が第2次大戦で負けた時、戦後日本は、自国で伝統的だった家族型を、理念上は「封建的」と否定して、米国型「核家族」を「理想の家族モデル」のように祭り上げた。/しかし三世代同居が消えたとしても、もともとの直系家族に由来する国民的価値観は、簡単に消えるものではない。/そのことが日本人の国際感覚に濃厚な影を落としている。日本人は何事も「上下、兄弟」という関係で考えたがる。それゆえ、「日本の独立」ということは盛んに口にするが、「諸国が平等である」という気分には一向にならない。だから「アジア共栄圏」という「理念」を思っても、自然にその中で「とこが兄でどこが弟か」と発想してしまうので、この点がアジアの他の国からみてすぐみてとれるから共感してくれない。たとえばその点で、ロシアのような権威主義的な国でも、国際関係については「諸国は平等」と発想するから、奇妙なことに権威主義的な国々(父系主義的権威主義の「共同体家族型」の国々がそうであるが)のほうが国際関係では信用されることになる。非西欧ブリックス諸国が奇妙に(国益は相当に違うのに)お互い国際協調し、仮に日本が彼らと国際関係を結ぼうとしてもなかなか簡単にゆかない奇妙さもこの辺に遠因があろう。こういうかなりわかりやすい事でも、日本人の大多数は普段気が付かない。/米国の核家族型を理想のように思っても、現実の日本の家族型が簡単に変化するものではないから、この違和感は常に残る。核家族型に由来した「個人主義」の、米国流の徹底した姿(超個人主義)で、超富豪が我が物顔に行動する米国の政治・経済は、日本人には結局なじみにくいのである。/日本を目下の同盟者とする日米関係は、「目下視」されるのにはあるいは我慢できても、日本の本来的国益を譲ろうとはさらさら思わない(米国からの力による強制に屈する場合以外は)というのが、当然自然のことと日本人は思うのである。/* 目を韓国に移してみるといい。この国は日本と同じ、「直系家族型」の国である。日本の隣国だから緊密な国際関係があっていいはずだが、現実にはまるで薄氷を踏むような外交関係にある。韓国もまた日本同様、あるいはそれ以上に、「どちらが兄でどちらが弟か」という建前に厳しい国である。それに、日韓併合という屈辱の歴史の記憶もある。日本側がよほど気を付けた国交をしなければ、韓国民こぞっての対日心理は解けない。安部内閣の外交なぞは、日本人からみてすら傍若無人におもえたほどだから、今後ともよほど神経をくばらねば常時隣国を敵とすることになりかねない。ともに仲良く米国の保護国なのにね。(ただ米国との善隣関係でどちらが兄でどちらが弟かと争うことはないと思う。よほど注意しないと簡単にそうしてしまうので。日本古代史の史書に、中国の皇帝の前で、どちらが上席であるべきか争ったという記事が、憤懣の辞とともに残っている。曰く、「百済は礼を知らぬ」。どちらも儒教国だものね。
2025-10-28 08:11:00
今朝は嫌なものを見た。新聞1面に掲載された、トランプと天皇の写真である。なんだこれは。終戦時のマッカーサーと天皇が並んだ「有名」な写真がすぐに連想される。どうせこういう写真は長く残って、よく引用されることになるんだろうが、せめて朝日の写真でなく、道新の写真の方が「柔らかくて」よい。/まるで保護者とその息子が並んでいる図ではないか。宗主国の君主である米国大統領がその保護国である日本の王と並んで映っている。はやくやめたいな、日米安保条約。
2025-10-28 06:24:00
ウクライナ戦争を考えるとき、この戦争の構図「西欧世界対ロシア」について、トッド氏は社会人類学的知見に立って、まず偏見なく両者の「構造」を眺めることが最初に必要だろうと考える。そして我々「西欧側」の人間は「ロシアの現にあるがままの構造」をまったく度外視しているようだとする。/ロシア国民の背景とするロシアの家族型について、たとえばフランス(平等主義的性質の核家族)と比較して、これはユーラシァ中央に広範な「共同体家族」だとして、つぎのようにいう。「ロシアの共同体家族は、普遍主義的な『平等』のシークエンスを発動する。『息子たちは平等である』に由来して、『人々は平等である』および『諸国民は平等である』」 /フランスが『子供たちは平等である』に由来して、『人類は平等である』という普遍主義を発揮し、フランス革命を世界に広げようとしたように、ロシアは共産主義体制を普遍的なものとして国際社会に広めようとした。この全体主義的共産主義体制が解消された後、ロシアの独裁的プーチン帝国は、「諸国民は当然平等であるはずだ」というより平和主義的ビジョンに変化した。そこで「多極的世界の構想を繰り広げ、その多極的世界の中でロシアは諸国民の平等性と自立性を擁護せねばならない」(ロシアの主張)という「西欧の国際的普遍性の主張」に対する「ロシアの普遍的主張」として、現実には非西欧世界(中国、インド、アラブ諸国等)に支持されている、とトッド氏は国際政治の現実をみる。これはロシアが国際的に孤立して破れているという図とは、だいぶ違うのではなかろうか。人口で言って、西欧世界25%、非西欧世界75%である。/確かにユーラシア中心部の共同体家族型は、国民性として『集団主義的・専制的』である。今核家族的な英米仏の「個人主義」が極端に絶対的に唱えられるのに対して、この「集団主義・専制主義」が対極としてくっきりと目立ってきた次第だ。その代表がロシアである。それにしてもこの非西欧の75%がまったく眼中にない西欧的世界観が、おそろしく非現実的なのは、否めないであろう。