インフォメーション
2025-10-13 18:25:00
10/14付け 朝日新聞では、解放人数20人としている。ガザの平和と復興が早急に実現するものと期待するのみ。
2025-10-13 15:27:00
じつは私は、年来、アングロ・サクソン流の民主主義に、正直のところひとつ大きな違和感をもっていた。それは普遍的に民主主義を語る際に「個人主義」を絶対の前提として語る仕方である。私個人は、この社会に生きるについて、自分が属している何らかの社会集団、家族もあろう、地域社会もあろう、職場もあろう、学校もあろう等々、をまったく除外して自分個人を考え、語ることはとうていできないと思っている。それがなぜアングロ・サクソンは、まったく当然のように「個人主義」を人類普遍の原理として考え、行動し、語ろうとするのだろうか。/最近ある政党の総裁が、自分が総裁になった以上、働いて働いて働くと口走り、話題になったが、私個人はこういう考えは十分理解できる。さっそく想起するのは次の歌詞であった。「海の男の艦隊勤務、月月火水木金金」。旧日本帝国海軍の「勤労意欲」をよく表している。「蛍の光、窓の雪」とは、たゆまず学ぶことを教えている。「青年老いやすく学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず」もそうだ。「二宮金次郎の銅像」はたえず働くことを人の務めとして示している。日本の社会に絶えず流れていた勤労の教えは、簡単に日本人の想念から消えはせぬ。昔英国のコーンウォールで英会話を学んでいたころ、機会があってサザンプトン港に滞在した。そこのパブリックライブラリーで図書を閲覧していて、20世紀冒頭この土地に日本人海軍士官の一団が生活していたが、「その人々が休みのない生活をしている」とあきれて書いてあった文章に出会った。(ナニ私もその人々の子孫なのだろう、休日になってもさっぱり遊ばないと、冷やかされていたので)これは日露戦争の開戦に先駆けて、英国に発注した軍艦を日本に回航する任務を負った士官たちだとすぐに気が付いた。
2025-10-13 09:10:00
人類史を「家族構造」の流れで見ると、人類史は、今から9千年前のメソポタミア流域で開始された「核家族」形態から、その5千年後の「直系家族」形態、そして有史時代以降のより複雑な「共同体家族」形態の展開、という具合に経過してきた、とする。「メソポタミアでの人類文化の開始」というのは、人類の農耕と定住の始まりで、人類の生活が多少なりとも次世代に残す知的・物的資産が社会に存在するようになるのが、「直系家族」形態への移行と重なるのであると。「メソポタミア」以前は、人類は長く遊牧流浪の生活をしていたわけで、「核家族」形態は遊牧中に発生し、農業時代に入っても数千年は続いたろうと。ちなみに現世人類の発生は、私は昔、5万年前と習ったが、今はどう見られているか。人類の種はアフリカで発生し、それが地球上に広がっていったと。トッド氏による世界史的な家族形態史は、上述のように、「核家族」ー「直系家族」ー複雑な「共同体家族形態」とたどられているが、これが「メソポタミア」や「黄河流域」やのような太古の文明中心地から出発して世界中に、移動する長い歴史を経ながら移動していったのである。だから「核家族」や「直系家族」のような「太古の家族形態」も「四大文明からみればはるかな周辺部」で、現に存続しているというのだ。トッド氏は英国の家族形態を「核家族」、ドイツと日本の家族形態を「直系家族」としている。ロシア、中国、インドはこの二者とは明瞭に対比できる「ある種の共同体家族」なのだという。トッド氏の示している社会人類学は、人類の共同体史を、私などが以前はそう思っていた「発展」を、恐るべきことにすっかり逆に示しているのである。核家族、直系家族という家族形態は、人類史では、もっとも太古に近い、言ってみればより原始的な形態だとしているのだ。*そうすると、歴史が切り開いた「近代欧州」というのは、私などがこれまでそうと信じて疑わなかったように、人類普遍の新しいありようを開いたものということを、疑ってみざるを得ないのである。*そういうわけで、この本の序文にあった佐藤 優氏の言、このトッド氏に似た議論として日本の柄谷行人氏の共同体論を挙げているが、似ているのはほんのうわべだけで、内容はまったく正反対だ。柄谷氏は折りさえあれば「遊牧民の自由」を回顧し、この遊牧民的自由さで共同体を再建するような想念を話すが、トッド氏の議論では「核家族」形態がこの遊牧民的自由さを属性として含むものとしている。太古的自由さ、ね。
2025-10-12 10:52:00
『トッド人類史入門』は、『我々はどこから来て、今どこにいるのか』という大著の「手引書」であり、コメンタールであり、日本人がトッド理論を理解できるような切り口を用意して、書かれている。内容目次は次の通り。
はじめに 思想の地下水脈 佐藤 優
Ⅰ 日本から「家族」が消滅する日
Ⅱ ウクライナ戦争と西洋の没落する日
Ⅲ トッドと日本人と人類の謎
Ⅳ 水戸で世界と日本を考える
Ⅴ 第三次世界大戦が始まった
おわりに 生きた類型学 片山杜秀
2025-10-12 10:26:00
現在、米国にトランプ政権が登場して、大戦後80年間の国際政治・経済の常識と思われていたことが、大きく覆されている。このような世界的変動を、どう理解したらいいのか、何か月か悩んでいた。こういう事態を読み解くには、私が従来知っていたどの人文・社会・科学理論も、手掛かりになりにくかった。エマニュエル・トッド氏というフランス人の社会人類学者の何冊かの本を読んで、「ああ、ここに、参照するに足る仮説がある」と感じた。内容の輪郭がわかる程度に、ここに、数回にわたって、連載してゆく。やり方は、この人に関する本の中から、1.エマニュエル・トッド、片山杜秀、佐藤 優共著『トッド人類学入門 西洋の没落』文春新書、2025年、850円+税、2.エマニュエル・トッド著、堀 茂樹訳『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』上下、文芸春秋、2022年、それぞれ2200円+税。の2種を、トッド氏入門として選び、まず1を対象にして、まとめや紹介や感想やを書いてみる。この小文を続けて読まれる方は、ぜひこの2種を買って詳しく読みながら、私の感想を聞いてほしい。買う金が乏しければ、近くの図書館で探されよ。わたし自身まず図書館で借りて読んだのだ。