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2022-11-11 10:02:00
読書の感想。河北新報社『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙 それでも新聞をつくり続けた』文芸春秋、2011年。 2011年に起こった東日本大震災に対処して、仙台市に本社がある東北地元の新聞社・河北新報社がどのように存続し、地元に寄り添った新聞作りを行ったのかという真摯な記録。震災当時は不本意ながら目を背ける心理が働いていた本を改めていま読む。読後に不思議と残る爽快感は、自然災害を相手に人間同士の扶助と共感の努力がもたらすもので、これが人間同士の醜いエゴのぶつかり合いである戦争・戦乱であれば、どっちが勝った戦争であれ後日に爽やかさなど残りようもなかろう。本書は、当時の地域的な記述を読みながら、そこに生きた人々の心理や感情が、よくうかがい知ることができる。(当時名取市に生きた方々の心細い心理、当時仙台市にあって、福島の放射能の影響をひじょうに恐れていた弟の心理、よくわかる。救援物資を送ったら、自分はこれをとりに自転車で向かうのだが、空中に放射能の危険が高いのだぞと叱られた。)いま私たちはコロナの流行(もう三年になる)と戦っているが、生きる条件を捜しつつ、家族を地域を社会を、とにかく存続させようとしている。いまこの当時の河北新報の記録を読むにつけても、自然災害であるコロナ禍に対して、人間同士の助け合いで切り抜けられないはずはないという思いを強くする。
2022-11-08 21:41:00
読書の感想。京極夏彦『書楼弔堂 炎昼』集英社、2016年。たいへん風変わりな内容の本で、立派な装丁に仕立てられた、五百頁余の分厚い本である。しかし古書価格は滅法安かった。開いてみれば、縦書きで、思い切って粗っぽく、ゆとりをもって編集されている。いきなり何か怪事件が起こるわけでもないので、最初気が抜けたような感じで、のんびり書かれている。すぐは読む気が起こらず、長い間書棚に放置していた。このほど、たまたま開いてみて、読み進んでゆくと、これが恐ろしくまじめな内容の小説。訪問者がある書店に入って、書店主に人生の大事を相談するという話。六話あり、明治期の人物が問う人生の大事に、書店主が答えてその「答え」の重要な手掛かりになる本一冊を、訪問者に与えるという話。なにしろ時代を明治期に移して舞台を設定しているところが凝っている。この誰かの「人生の大事」とそれへの書店主の応答が、ある種の一般的普遍性をもっているところが、読みどころであろうか。なにせ著者が文献を通じて得た広範な知識を駆使して描かれていて、生半可にはとてもこういうものは書けまい。(私は言語における共通語と方言の関係を考えていたから、はからずもこの本の著者の見識が参考になった。)内容は詳細にバラしてしまうのはルール違反かと思う。これは推理小説の性質も持つのだろうから。訪問者が誰なのかということだね。クライマックスで「泣き虫さん」という訪問客xが登場する。かつて芥川がこのxを批評した文章を書いているが、この芥川評と対比すると、著者のx評は無限に優しいと思う。しかし考えた。現代でいうとこれは図書館の参考係の役目だ。理想の参考係がいて、図書館はおろか、出版された本全部を、インターネット上で集約して、人生の岐路にある入館者に「これ一冊」を推奨する場面を夢見る。このイメージはある程度、アマゾンやヤフーや楽天やの上に存在するが、ちと商業的だな。純粋にボランティアでは果たせぬかな。我と思わん人、現代の書楼弔堂を考えてください。
2022-11-08 09:37:00
「気」、総画六、一年生、部首「きがまえ」部首内画数二、読み、キ、ケ。 部首「きがまえ」の意味、「息が折れ曲がりながら出てくる様子」、漢字「気」は、その下に「米」を合わせている。米をふかすとはに出る蒸気のことだという。雲気、空気。この部首に属する常用漢字は「気」しかない。 注意した熟語。「気合い」「気運」「気鋭」「気炎」「気概」「気懸かり」「気管支」「気孔」「気骨」「気象」「気色」「気色ばむ」「気動車」「気迫」「気品」「気風」「気密」。「気合い」きあい、「ぴんとはりつめた、いきおいのある気持ち。」、「気運」きうん、「ものごとがある方向にうつりうごいているようす。」、「気鋭」きえい、「意気ごみのするどいこと。」、「気炎」きえん、「さかんな意気。」、「気概」きがい、「ものごとに負けまいとする強い心。」、「気懸り」きがかり、「心配なこと。」、「気管支」きかんし、「気管の下から左右にわかれ、肺臓にはいる二本のくだ。」(人体内部の機関を漢字で言い表しているので、医学上など、貴重な表現方法ではなかろうか。)「気孔」きこう、「植物の葉のうらにあって、空気や水じょう気の出入りする穴。」(理科)、「気骨」きこつ、「自分で正しいとおもったことを、まげないで実行する強い心。」、「気象」きしょう、「はれ・くもり・雨・風などの大気に生ずるありさま。」、「気色」きしょく、「気持ちが顔にあらわれること。かおいろ。」、「気色ばむ」けしきばむ、「むっとしておこった顔つきをする。」、「気動車」きどうしゃ、「ガソリンカーやジーゼルカーのように、エンジンを車体につけてレールの上を走る客車や貨車。」、「気迫」きはく、「おしせまるような意気ごみ。」、「気品」きひん、「どことなく上品なこと。」、「気風」きふう、「ある地方や団体の人々にみられる共通のふんいき。」、「汽笛」きてき、「空気やガスなどの気体を、自由にとおさないこと。」以上小学館『例解学習漢字辞典』を主な参考にした。熟語の説明は、同辞典により、小学生が読みやすい表し方になっている。
2022-11-06 16:56:00
「学」、総画、八、1年生、部首内五画、読み、ガク、まなぶ、意味、勉強する。 以前は、冠の部分がもっと難しい字になっていた。画数の数え方に注意。 部首 子の部(こ、こへん)、三画、意味、子供に関係する。 字の例、子孔字存孝季学孤孫。 注目した熟語、「子午線」「子爵」「子女」「子息」「子弟」「子房」「子葉」。 「子午線」しごせん、「地球上のある位置の真上の空と、北極・南極を結ぶ線。イコール、経線。」 「子爵」ししゃく、「昔の華族の位の一つ。五つの位の内の四番目。」 「子弟」してい、わかもの。歳の少ない者。」 「子女」しじょ、「女の子。」 「子息」しそく、「息子。」 「子房」しぼう、「花のめしべの下のほうの膨れた部分で、実のなるところ。」 「子葉」しよう、「種から芽が出るとき、始めに出てくる葉。」 小学館『例解学習漢字辞典』昭和56年、を主な参考にした。熟語の選択や説明が、小学生の学習内容に合うのではないか。 「学」の熟語は、省略した。取捨選択に困るほど、多い。
2022-11-05 12:14:00
「花」、総画七、1年生、くさかんむり、部首内で四画、読み、カ、はな、 部首の意味、草の生えている様子、草の種類や状態を表す漢字。しかし例示してみると、草とはまつたく関係なさそうな文字が大量に加わる。例示、芋芝花芸芳苦英芽若茂茎苗茶草荘荒荷華菜著菊菌菓落葉葬蒸蓄蔵薬薄薦薪薫藩など。 字の成り立ち。草冠は「草」を表し、脚の「化」は、「姿が変わる」ことを表す。 この「花」という文字は、「ヒ」のところで、①右から入る。②突き出ない。③ここを先に書く。ことに注意しよう。 熟語。「花嫁」「花婿」「花冠」「花鳥風月」「花曇り」「花言葉」「花祭り」「花道」「花文字」を注目する。 「花嫁」は、はなよめ。「盛りで美しい」。なるほど。では「花婿」はなむこは、「お婿さんを讃えている。」このほうも「盛りで美しい」けどね。「花冠」かかん、「一つの花の花びらの集まり」。「花鳥風月」かちょうふうげつ、「自然の美しい景色」「風流」。まさに東洋的美観だね。「花曇り」はなぐもり、「桜の咲く頃、空がどんより曇ること」。つまり、特定の花曇りを表すのだ。「花言葉」はなことば、「いろいろな花に、その花に合うような意味を持たせた言い方」。例、パラ(愛情)、ユリ(純潔)、クローバー(幸福)。「花祭り」はなまつり、「四月八日釈迦誕生日。釈迦の像に甘茶をかける。」「花道」はなみち、「劇場で客席の間にあって、役者が舞台に出入りする細道。」「花文字」はなもじ、「ローマ字などの頭文字。」以上小学館『学習漢字辞典』昭和56年、を参考にした。