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2016-07-31 12:40:00
どうも野球の「専門家たち」は、「プロ野球の財源」ということには、あまり触れたがらないようだが、これは枢要の話題ではないのか。 ★ いま日本ハムと戦っているソフトバンクは、たいへん給与のいいチームとして知られている。このまえ「ハバナ文書」という、世界的な「租税回避地」を話題にした一大フィーバーがわが国でも起こった。野球関係でこの「ハバナ」に関係していたのは、オリックスと、楽天と、ソフトバンクだった。どれもIТと金融とに強くかかわる会社だ。そこへ行くと日ハムは「肉」なので、いささか古風ですね。以前プロ野球が「セリーグ6球団ぐらいしか日本では維持できないのではないか」と興廃を騒いだ時があった。その時に日本ハムや楽天や(ホリエモンというのは結局出てこなかったが)、オリックスや、孫正義が買収したソフトバンクが、ロッテ、西武とともにパリーグを盛り返して、いまや総体としては「セリーグよりパリーグのほうが強いのではないか」という現状をもたらした(にもかかわらず今日も、野球関係者は常に、あたりまえのように、セリーグ優先に扱うのはどういうわけだろう。)こういう野球界の活性化は、「以前の勢力」ではない者がもたらしたと思うが、いかに。 ★ どうしても日ハムの財務基盤は強いとは言えない。まあいずれ大谷が米国の球界に吸い寄せられるときには、(かつてダルビッシュがそうだったように)数百億円、一説には5百億円というカネが話題になり、そのときには日ハムにも多少のファイナンスがあるかもしれない。(なにしろ日本のプロ野球では、看板プレーヤーのギャラは、1億から2億へ、2億から4億へ、4億から5億へ、それでおしまい、ださうだから。それにしても日本ハムにそれほどの給金支払い能力はない。)球場運営と関連してファイナンスを考えるのが多くの球団のありようだが、日本ハムの場合どういうことになるか。財界さっぽろという雑誌の最近号に、日本の各球団の球場運営の姿を具体的にリポートした特集が載っているので、こういうことを考える人には参考になるだろう。「財界さっぼろオンライン」を引くと、7月号に、プロ野球12球場を比較した記事が特集されている。日本ハムをどう支えるかは、オーナーや札幌市だけではなく、他の球団のケースも参考にして、いろいろダイナミックに考えていったらよい。誘致合戦ばかりしているのは能がない。広島の例など、もっと参考にしてよかろう。
2016-07-30 22:11:00
7月30日・土曜日・日本ハムファイターズ。3対2で、ソフトバンクに勝った。高梨投手。この試合は、まさに「トリックスター」としての日本ハムの面目躍如たるものがあった。7回表、ソフトバンク側攻撃の際に、3塁後方へファウルが飛んだ。その落下点に殺到するレアード、中島、西川。同一地点で3人はまるで団子のように群がった。結局西川が捕球したが、このようにプレーに賭ける執念は、とても人間業ではない。それまで日ハムは2対0と負けていたが、このプレーをきっかけに試合の流れが完全に日ハムに傾いた。7回裏。田中アウトのあと、中田が打ったレフトフライがヒットに。次の陽が、なんと死球を食らう。次のレアードが打ち損ねたボールが緩く1塁線に転がってアウト。しかしその間にランナー2,3塁。足の遅い中田が3塁に達していた。ツーアウト2,3塁。そこに岡の打った球が三遊間をきれいに破り、日ハムは2点とって同点となった。2対2のまま9回裏へ。ここでまた例のように事件が起こる。中田四球、レアード四球、岡のヒットでツーアウト満塁。次の大野に代わって例によって日ハムの代打は巨人から移籍した矢野。この矢野が死球を食って押し出しで、決勝点を得た。そこで「お立ち台」に現れたのは、岡と矢野のご両人。お客さまへのごあいさつをと求められ、マイクを握った二人が「合唱」したセリフは、「ファイターズ 最高」。 ★この経過を見ていた人は、なにかすべてが偶然の幸運と見えるかもしれません。現に、感想を求められたソフトバンクの関係者は、「これは2対0でソフトバンクが勝っていた試合だった。」という。しかし「トリックスター」日本ハムを今や信じる「関係者」には、日ハムがこのように3対2で勝ったのは「必然の流れ」なのですが。夏の日の4時間ほどの時間を楽しませてくれた日本ハムの皆さん。どうもありがとう。こんな面白いドラマはめったにありませんよ。
2016-07-30 16:24:00
大江健三郎「小説の経験」朝日学芸文庫、1998年に、『戦争と平和』の道化者 という一編があります。大江は自分が『戦争と平和』を愛読する過程で、自然に身に着けたのが、この小説の主な登場人物「ピェール・ベズーホフ」を作中全編にわたる「道化」と呼んで辿る読み方です。「もっともふつうの道化ではない。どこか並はずれたところのある道化です。」(88ページ)ピェールはいろいろの経験をします。作品の最後のほうで、いまはピエールの妻になっているナターシャは、夫を次のように思います。「いったいこんなに偉い、世の中のために必要な人が、同時に自分の夫だなんて、まあ本当なのかしら?どうしてそんなふうになったのかしら?」(89)このあと2パラグラフ引用しましょう。 「道化者、道化という役割は、伝統的なイタリア演劇のアルレッキーノがその代表格ですが、ヨーロッパ文化のなかに深く根をおろしています。さらに世界の様ざまな地方の民話的な伝承の中にも、独自の生きいきとした働きを示していることが報告されています。この道化の文化的な役割をわが国で広く知らしめたのは文化人類学者山口昌男でした。かれはアメリカ・インディアンやアフリカの先住民の民話の中から、道化の原型としてトリックスターという神話的人物像を取り出しています。」(89-90) 「トリックスターは、その属している部族や社会の慣習になじまない道化者で、つねにいたずらや破壊、挑戦をくりかえします。強いものとやりあって、かしこい戦略で勝つかと思えば、弱いもの相手にたわいもなく負けてしまいます。ところがこのトリックスターのふるまいのあとをたどってみると、部族や社会にそれまで知られなかった新しい知恵がもたらされているのです。そして最後にトリックスターのやることは、この地上での仕事をすべておえて天上に昇っていくことです。」(90) むろんこのような面影は、『坊ちゃん』、『ハックルベリー・フインの冒険』にもみられるところだが、大江氏は『戦争と平和』の読みにとくに投影してみるわけです。 これは独特の概念で、分析しすぎることを嫌う趣があります。故山口昌男先生のいくつかの著作まで援用してゆくと、「分析しすぎることを嫌う」とする心もお分かりいただけましょう。 私はパリーグの現在2位で戦っている日本ハムファイターズにあえてこの称を差し上げ、その試合ぶりを日夜楽しませていただいているわけです。さあ、ミラクルの達成だ。
2016-07-29 21:54:00
今日7月29日札幌ドームでの、日ハム対ソフトバンク第1戦は、有原投手が投げ、残念ながら6対4で日ハムの負けになった。しかし試合経過を子細に眺めると、日本ハムファイターズというプロ球団が、「トリックスター」という独特のキャラクターを身に着け、このキャラクターがほとんど完成の域にあることが分かる。この「トリックスター」という批評は野球の世界自体からくる「ことば」ではない。これは文芸批評からくる言葉を野球に援用したものなので、この言葉自体あまり知られていないのが当然。この点については後日別個に書く。内容からいうと、これは、「妖精としてふるまうエリート」ということだ。日本ハムの天下一品のキャラクターのことだ。その仕掛け人はむろん日ハムの栗山監督。栗山監督は往年の智将といわれた三原脩(みはらおさむ)監督に心酔し、多くの知恵を三原に学んだ。そしてようやく最近、いわばチームを「トリックスター」にしようという栗山構想にチームの大多数の選手と支え手たちが、理解し、共鳴するようになった。(まだ1-2名、ぜんぜん乗らない者がいる。)チーム全体が「トリックスター」であり、個々の目立った選手たちもトリックスターである。大谷はその最たるものだな。そして、田中、西川、中島、レアード、岡、市川、大野、杉谷、矢野らの面々。(昔は新庄とかびちょりとか、ハムの妖精は限定されていた。)さあこうなってくると日ハムの試合には不思議な魔術的、妖精的場面が頻発することになる。あれはたまたま起こるのではないよ。かなり計算ずくで誘発されているのだ。それを選手も観衆も楽しむ。わいわい楽しんでいるうちにいつの間にか日ハムが高い勝率を発揮している。今日の試合最大の傑作は、9回裏1塁にレアードがいたときに、ソフトバンクの投手サハテは1塁手がそこにいないベースの上に突然牽制球を投げた。しかし誰もいないところに投げたので、ランナーレアードは3塁まで走った。そこでサハテがカンカンに怒って塁審に抗議しているので、いったい何に怒っているのかと思ったら、サハテとしてはこれは「ボーク」でランナーは3塁へ行ってはならないと抗議しているのだ。塁審はこれを「牽制暴投」と判断し、サハテの抗議に従わなかった。(そもそも恥の上塗りになるような抗議をして何になるか。)試合は確かに日ハムの負けだが、内心満場大笑いのうちに今晩が暮れた。こうなってくる伏線がゲームの中にあった。「トリックスター」らしい幕引きである。明日も和やかに、楽しい試合をしようね。
2016-07-28 21:13:00
7月28日・木曜日・夜。日ハム対西武ライオンズ第3戦目。残念ながら日ハムの負け。日ハムの連勝はここでストップ。 しかし不思議な試合であった。日ハムの先発投手斉藤は、1-2回で5点も取られ、4回に降板。日本ハムは1点しかとっていないので、試合の先行きはほぼ絶望的となった。(しかし日ハム後続投手新垣はよく投げた。)7回に西武はさらに1点を加え、6対1となる。私はこの試合を見ていて、不思議の感に打たれた。これほど強い西武ライオンズなのに、どうしてこれほどのチームが今まで全然勝てないでいたのか。西武のパリーグ順位は、ラストに近いのである。8回までの攻防を見る限り、西武の攻守になんの落ち度もない。(強いて言うと、西武の主力打者メヒアが全然不振である。)球場は今日で累積入場者数100万人になったというのぼりが立った。それにしても、今日の座席はガラガラに空いている。9回表日ハム最後の攻撃となった時には、かなりの観客(たぶん西武側だとおもうが)がぞろぞろ帰りだした。ところが9回表に事件が起こった。たいした打球が飛んではいないのになにやら妙な守備が重なって、ついにワンアウト満塁になってしまった。(その時点で6対2になっていた。)誰も夢想していなかった同点の機会が日ハムに現れたのである。ただ、さすがの日ハムも、よもやこの時にこの機会が現れるとは想像していなくて、おおいにどぎまぎしたのであろう。田中、陽と、チャンスをものにできず、試合は終了した。日ハムよ、「勝負は下駄を履くまでわからぬよ」。いい教訓になったのではないか。さて明日からのソフトバンクとの3連戦。どうなるか。