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2022-10-23 16:37:00
象形(ものの形を写したもの)の例。牙、石、耳、*、豆、手、毛、瓜、立、高、人、舎、倉、傘、冊、兆、凹、凸、刀、力、*、ト、止、生、角、象、凶、弓、口、足、夕、大、犬、女、子、*、山、川、巾、糸、府、羊、首、心、戈、戸、斤、日、且、曲、果、月、火、水、木、桑、楽、片、牛、井、虎、田、泉、見、*、竹、米、羽、*、臼、舟、貝、車、門、閉、雨、雲、馬、魚、鳥、長澤規矩也『三省堂漢和辞典』643-652頁より。/私は、象形文字なるものがこんな具合にたくさんあるのに驚いている。「日」とか、「月」とかが象形文字なのは、図解をみているとすぐなるほどと思う。しかしおそろしく面倒な図解を示されないとちょっとわかりそうもない象形文字がこんなにあるとは。ここでいう図解も、早く言えばこじつけだ。しかしそれにしても数千年の昔に「こうやってものの形をかたどったのだ」としてこれらの文字が定められ、これらの文字はさらに別の複雑な文字の種にもなって、今日に至っているわけだなあ。これらを別にいちいち暗記するには及ぶまい。ただ、一度こういうものとして銘記してしまえば、漢字成り立ちの背景として私たちの記憶の底に沈殿してくれるだろう。詳しく知りたきゃ『漢和辞典』を引けば詳しく述べている。
2022-10-23 09:26:00
長澤規矩也『三省堂漢和辞典』は、その643-652頁に、「成り立ち」別の文字の例示を、いくつか行っている。「漢字の字源の説明」と題している。「漢字の成り立ちには、およそ四種類あるといわれている」として、(1)物の形を写したもの、形にかたどった(象)ということで、象形文字とよばれるもので、絵文字ともいうべきもの。(2)前者が具体的に物の形を表しているのに対し、抽象的にものごとを示すもので、この中には全く独立して表現するものと、象形によつてできた漢字を土台にして、これに符号を加えて抽象的に意味を表したものとある。指事という名称がある。(3)文字が造られる前からあった発音を表す文字に、その事物の意味を示す文字を偏旁冠脚のいずれかの一つとして加えたもので、形声という名称がある。動植物の名などはこのようにして漢字で表されたものが多い。(4)既成の漢字を合わせて造られたという点では(3)と同じであるが、その部分を成す漢字を全く意味の上から結び付けたもので、特に一部分で発音を示すという限定がないもの。会意という名称がある。 「以下、成り立ちを知っていることによつて字形を覚える便利があるものを、成り立ちを分類番号で示す」と、これらの「例示」の趣旨を述べている。/『漢和辞典の先生』だからなんでも漢字を使うというのではなく、この説明の文章は、手ごろにひらがなを使っているんだな、と思う。その分、文章が柔らかく、読みやすくなるな。六書は普通は象形、指事、会意、形声という順に書かれているものだが、ここではあえて形声、会意の順になっている。確かに、形声から先に理解するほうが、印象的だと思うよ。 いずれにせよ、漢字成り立ちのありようは、象形、指事、形声、会意で、大多数の漢字は、形声と会意に属するわけだ。(つづく)
2022-10-22 21:07:00
漢文で、文字とは何か。許慎『説文解字』は、象形文字や指事文字のような「単純な文字」のことを「文」といい、複雑な仕組みの文字のことを「字」というとしている由。徹底的に、従来からある文字を組み合わせていろいろな新しい漢字を作ってきたのが、漢字というものの体系で、こうして出来上がった漢字を「文字」と言っているのだと。こういう学問が「漢事学」(あるいは、小学という)で、漢字の使い方の文法をも含むという。それに対するものが「漢文学」。要するに、国語学と国文学の関係のようなものだろう。漢和辞典は、この漢事学に関するものだと。世に文学青年というのはいるが、語学青年という具合には言わない。文学青年には夢と志を感じるが、「語学青年」には(もしそういう言い方があったとすれば)、実利と生活臭が強すぎるのかもしれないね。従来話題にしてきた「部首」とは 様々の複合文字を作ってゆく際の「基幹になる文字」であると。通例二百数十種類を漢和辞典は「部首」として挙げ、一覧表にしている。
2022-10-21 22:01:00
「六書(りくしょ)」とは、漢字にかんする6つの法則ということだと。許慎『説文解字』の叙に、指事、象形、形声、会意、転注、仮借として説明していたものを「六書」とするのだと。端的にいえば、「六書」とは、漢字を組み立てる原理であると。宇野哲人編『新修国語漢和辞典第3版』集英社、1978年、中の漢字解説編『六書について』(1046-1048頁)にそのように述べてあった。続けよう。象形(しょうけい)とは、実物の形をかたどって造字する法則だという。太陽の略画が「日」になり、半月の略画が「月」になった等と例示している。指事(しじ)とは、象徴的な符号によって、抽象的な意味を表示する造字法だという。棒一本書いて「一(いち)」にするなどは代表的だろう。もうひとつ、基本となる漢字に符号を加えて何かを指摘・強調し新しい意味を表す造字法もあるそうだが、こっちは難しくてちょっとわからない。会意(かいい)とは、複数の既成の文字を組み合わせて、新しい意味を表示する造字法である。「日」と「月」を組み合わせて「明」とする例は、わかりよい。形声(けいせい)とは、意味を表す意符と音を表す音符とを組み合わせる造字法である。例として「江」という字を挙げ、へんの「サンズイ」は水をあらわし、これに「工」という「音と同時に広大さを表す符号」をつけているのだという。結局漢字の大部分は会意と形声からうまれ、ある程度の部分が象形と指事から生まれる。五番目の転注(てんちゅう)は、造字法というより、漢字の意味転化の法則であると。ちょつとわからないな。最後の仮借(かしゃ)は、当て字の法則であると。私、戦中・戦争直後の少年時代を送ったので、漢和辞典の引き方をじっくり学ぶ時期を失していた。遅まきながら、少しずつ親しもうと思うのである。
2022-10-20 18:54:00
長澤『三省堂漢和辞典』の説明の要点を追いながら、考える。同書5ページで、「漢和辞典の引きにくい理由として、漢字の画数がよくわからない」とされ、小学校教科書に使われる筆写体(教科書体)と中高用に使われる活字体(明朝体)と、生徒が出会う漢字の字形が違うから、漢字の画数が違ってくるという問題を提示された。一般に漢字の違う字体を問題にすれば、字体によって画数が違ってくるのが当然でありましょう。/ただ、現実論としては、漢和辞典側が配慮してくれていれば、「画数の問題」はあまり問題にしなくて済むのではなかろうか。漢和辞典が漢字(親字)の書き順を示していてくれれば、そして学習者がふだん文を書くときに漢字の書き順に非常に配慮していれば、画数の問題はなんとかなるのではないか。