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土曜日・曇・札幌。★ここ数日、継続して頭を悩ましていたのは、将棋の王位戦、第3局の対戦の様子。道新10月8日号23頁の第11局の終了図をにらんで考えあぐねたが、ここからどうして藤井棋聖(当時)の勝利に導かれるのかがわからない。(つまりその次の第12局で藤井氏が4一飛車と回る手が予測できなかった)評者は、この第11局で木村王位が3三銀ではなくて1三銀と打っていれば「違う将棋になった」としているが、してみると木村氏の3三銀打ちが木村氏の敗着で、ここまでは全体として木村氏の勝勢であったものがひつくりかえったということになる。ただ(当然だが)私の棋力ではわからなかった。★道新10月10日号、18頁「サッポロ夏割 市民客44% 宿泊料割引 市、利用状態まとめ」。なんと7月23日から8月31日の期間、札幌のホテル・旅館を補助金付きで利用していた人口の半数近くが札幌市民だったとは。★日本学術会議の会員任命を、学術会議が提出していた推薦者から6人を外して首相が任命したという「問題」について、政府はなにやらごたごたと「説明」に苦慮していたが、今日の道新2頁「任命拒否 行革にすり替え」とは。もともと日本学術会議のありように政府は深い不満を抱いていて、「同会議を行革する」という強い決意を抱いていたというように取れる。こうなるとただ事ではない。この問題を政局の第1優先課題にして、国会で徹底討論なさるがよかろう。つまり、菅内閣成立の意義は、日本学術会議を改革することにあるということだ。ただ、国民には何も知らせずに、陰でことを運ぶのだけはやめてほしい。官邸の内部記録も公的なものとしてしっかり詳細に残していただきたい。幸か不幸か、政府の主張らしきことも、野党の主張らしきことも、ネット上も交えてあっちこちみれば、そこそこ揃っている。☆同時に、「推薦--任命」という法形式になっているあらゆる重要人事の法的意味を、国家運営上のシステムという観点から再度徹底的に見直した方がいい。例えば最高裁長官を任命するのもそうだが。国民としては、何でもかんでも国家枢要の人事を官邸に糾合するというロジックに、呆れかえっていたのだ。人事政治、かね。
木曜日。★道新9月28日号、1頁「2100年 日本GDP4位 米研究者ら推計 人口は半減」。いったい世界の将来と日本の将来はどうなることかと、懸念・ないしは期待・は尽きない。たとえどんなにあやふぃ推定でも、それなりの根拠があれば聞いてみたい。ワシントン大の研究者による推計だというこのデータを道新が敢えて1面に掲載したのも「そういうデータ」と見たからだろう。人口の盛衰予想を基準として2050年と2100年の世界諸国のGDPを基にした国勢を推定した。★概していうとこういうことだ。1位と2位は「米国あるいは中国」、2050年と2100年に「インド」が3位(人口急伸のゆえであろう)、「日本、ドイツ、フランス、英国」というグループがその下に来る。このように、面白いことに、インドが3位に(いまは7位なのだが)くるというほかは、「1位と2位」のグループと「4位から7位までのグループ」は、ほぼ固定した構図になっている。★日本は2100年には人口はいまの半分になっているが、高い生産性を維持して「4位」に座っているのだそうだ。★人口動態を中心とした推定がどれほど事態を言い当てるかは、今はわからぬ。ただ、そうしてみれば、各国の「人口政策」は今後とも大変重要な要素になるだろう。日本の場合、従来あまり考えてこなかった「移民政策」のありようは、確実に重要になるのではないか。日本はまだ移民ということについて、ほとんど白紙で臨めるのだが、諸外国の移民政策の歴史的検討は、日本人がとくにいま必要とするところであろう。
前回の足立邦夫『ドイツ 傷ついた風景』講談社、1992年、に「もう一つの傷」を追加させてください。この「傷」は、著者足立邦夫さんでさえ、1992年当時にはおそらくこれがこれほどの大きな傷に「成長」してゆくとはお気づきにならなかったでしょう。☆ドイツ民族の「東方へ向かっての成長」は、すでに数百年前から始っていたと思うが、ナチスドイツ時代に、ナチスドイツ怒涛の東方進撃(ドイツ広域経済圏の成立)に相応じて大規模な人口移動となつていったものと思います。ナチスドイツ敗北に伴って、いったん東方化したドイツの人口は再びドイツに回帰したでしょう。☆そしてソ連東欧圏が解体して、ここに再びドイツに回帰する人口移動が生じたでしょう。☆問題は、こうしてドイツに回帰した人口は、概してドイツ「第1の傷」である「ナチスドイツ否定」があいまいであること、いったんドイツに回帰すると、ドイツへの新たな移民を強力に阻止する傾向を示す事でしょう。21世紀の世紀転換期以降にアフリカ、中近東からのヨーロッパ移民の大きなうねりが生じると、この「第三番目の傷」は、ドイツにあってすらEU欧州連合を解体させる勢いにつながる点です。☆日本には、このようなドイツの戦後の運命と、非常に似たモメントが存在するが、同時にその類似点は、ドイツと比べると非常に矮小です。(幸いに矮小です)私らは、ドイツにいろいろ学べる点が多いと思いました。
日曜日・曇、18-14度・札幌。★道新22頁「木村、藤井、王位戦第2局、第12譜(終盤)」の棋譜。昨日の藤井5三香打に続いて、木村の4二歩打という差し手がいかにもトロかった。これが次に4一歩成となっても、藤井陣への詰めろとはなっていないからだ。そこで藤井氏が5七銀不成と突っ込み、ここから逆に藤井氏からの木村陣攻撃となり、終局に至る。確かにこの木村4二歩打ではなくて、4九歩打と藤井氏の角が当てられている4八の金にひもを付けておけば、木村氏にとって遥かに優位な将棋であろう。つまりは木村氏の4二歩打ちは致命的ポカというわけだ。一挙に木村氏の敗北に繋がった。藤井氏5七銀不成以下の差し手は、わたしのような素人でも容易に辿れる手順だ。☆このほどブックオフで、足立邦夫『ドイツ、傷ついた風景』講談社、1992年を購入(たった191円だった)。著者は長くドイツに滞在していた日本のジャーナリスト。ナチスドイツという過去を背負った西ドイツの政治と社会と文化が、どのようにこの「傷跡」と取り組んだかという「観察」である。かつての「友邦」の運命は日本の運命とも重なるところがあるから、たいへん真剣な読み物となった。そしてドイツは、もう一つの運命も背負った。「東西両断国家」という運命である。この分断国家は戦後半世紀ほどで解消されたが、この件もまたナチスドイツとは別の、もう一つの「傷跡」なのが明らか。私は今までドイツの運命と日本の戦後を比較したことがなかった。読後この比較を少しずつ始めている。そして、「韓国社会」の戦後の対日態度と「日本の保守派及び右翼」の戦後の言論には、明らかにこの両者とも、「ドイツの戦後のありよう・傷跡対応」を日本と比較しながら強く念頭に置いている傾きがあるという「国際性」を見て取った。この点で私は極楽とんぼであった。私らの「国際性」はせいぜい米国とソ連とアジア諸国しか念頭に置いていなかった。
土曜日・曇、気温予想18-13度、降水確率20%・札幌。★道新28頁「今冬の道内暖冬の傾向、気象台見通し」。北海道は寒気の影響を受けにくく、暖冬傾向の由。寒冷のシベリア高気圧が平年よりも南東に張り出して西高東低の冬型の気圧配置が弱まり、道内に寒気が入りずらいのだと。降水量という点で、日本海側が平年並みか、より少なく、太平洋側は平年並みだろうと。☆要するに札幌は暖冬で降雪が少なめと予想されているわけだ。ありがとう。★道新25頁「木村対藤井、王位戦第2局の第11譜」。わたしは第1局の棋譜を愛読していたが、最後の3譜で藤井勝利となる過程を「自分の力」ではどうしても追いきることができなかった。さて、この第2局第11譜だが、ここまでは木村氏の指しまわしの方が一方的に優勢と見えていたが、ここで藤井氏に53香という、「攻めにもなる」手を差されたことが、今後の転機になったのだろうということは、容易にわかる。それに持ち時間が両者ともわずかになっている。☆評者のいうように、53香を差させない手順があればそれを木村氏が選んでいればよかったことになる。まーいってみれば、ここまで来て木村氏のポカだった。★道新13頁「豊平川 実は暴れ川」。豊平川の治水に工夫がこらされているとはいっても、豊平川は元来が高低差が大きく治水の難しい川で、過去(たとえば1913年)に大水害にあっている。今日でも、本州によくきているような大型台風が風雨を伴って札幌を直撃するようなことがあれば、豊平川氾濫の危険が大いにあることになる。☆札幌を直撃するような台風がめったにないという「幸運」に救われているだけだ。警戒心を忘れぬことだ。