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2025-07-23 05:51:00
株式会社が資本主義社会にとって当然の事業の姿とされるようになったのは、歴史的には、19世紀末からである。資本主義は歴史的には英国において19世紀に確立し、それが19世紀後半以降に世界中に波及していったのだが、その資本主義が世界で最初に確立した英国では、個人資本家が主体であり、株式会社というものは、国家の公益的事業にのみ用いられるものと考えられていた。事業では鉄道とか運河に実例がある。代表的株式会社例は、中央銀行であるイングランド銀行であろう。なお、初期の銀行は個人銀行で、その公益性は、中央銀行券に交換されうる兌換紙幣の発行と預金制度にとどまる。株式会社が私企業として用いられるという発想には、アダム・スミスは強く反対していた。不真面目・不利益・不都合で信用できないと。今日でも株式会社の「公益性」ということが重要な議論になる発端である。
2025-07-23 05:05:00
米国社会の過去80年間の大雑把な姿を考えるために、ロバート・ライシュ氏『最後の資本主義』東洋経済、2016年、の議論を参考にする。この人はクリントン第1期政権の労働長官を務めた人である。以下でのカッコ内は同書の頁。/米国経済は第2次大戦後の約30年間、1950年・1960年代は黄金時代で、勤労者の生活も安定していた。ところがその後1980年代を境に今日まで、米国内の貧富の格差は急拡大して行き、大戦後30年間は大企業のCEOの所得は平均的労働者の20倍程度だったが、今では実質的に労働者の200倍以上になっている。(はじめに 6頁)/経済社会の基本になっているのは株式会社である。その株式会社において、1980年代に、劇的な変化が起こっていた。それより以前には、米国の大企業では、「企業経営者たちは自らの役割を、投資家、従業員、消費者、一般国民、それぞの要求をうまく均衡させることだと考えていた。大企業は実質的には、企業の業績に利害をもつすべての人々に『所有』されていたのである。」(23頁)/「株主主権」という「新ルール」は、(1930年代以来の)米国では、1980年代の所産であると、している。それ以前は「株式会社のステークホルター・つまり経営者も従業員も・」が「株式会社の主権者である」と言うのが事実上の株式会社のルールであった。「株主だけが会社を所有するという考えは、1980年代に企業の株主利益を最大化したい乗っ取り屋が、経営者に対して『採算性の悪い』資産を売却し、工場を閉鎖し、借金をもっと引き受けて、従業員を解雇するよう要求し始めた頃に出てきたものだ。」(23頁)つづく
2025-07-21 16:41:00
参院選は昨日が投票日で、今日の新聞には選挙の結果が示されている。この大勢は、自民・公明という連立政権が票を減らし、立憲は現状維持、野党、特に国民と参政が躍進、他も健闘、といったところ。一言でいうと、政府が国民の信を大きく失っている。/全国的に言って北海道は、この参院選に現れている限りでは、非常に「保守的」だったといえるのではないか。自民2議席、立憲1議席と、前回と変わらず。国民、参政は北海道ではもう一つ伸びなかった。政治的に保守が安心できる土地というのは、いまや日本中探しても少なくなった。実に北海道だけだ。まあ、よくても悪くても今はこの現実を認識するほかはなかろう。/いまの世の中のどうしょうもない「不安定」は、米国にトランプ政権が現れて、トランプ以前の政治秩序を全否定しているところにある。我が国も、バイデンまでの米国ならこんなにどうしょうもなく困ることはなかった。日本の対外関係に現れた「行きどころのなさ」も、国内の政治の行き場を混とんとさせる原因になっている。正直、日本の国際関係に、いまどんな大きな絵を描くことも不可能だ。/トランプ政権に先立つ80年の米国の根本的問題点を、時間がかかってもいいから検討してみようとおもう。トランプが「自分以前のアメリカ」を口を極めて攻撃することに、いったいどういう問題がひそんでいるのか。要するにあえて問う。「バイデンまでの米国の体制のどの点が、決定的に悪かったのか。」
2025-07-17 04:30:00
7/16 デイリー新潮 配信の次の二つの記事(前編と後編)は、最近の選挙活動についてマスコミが伝える参政党躍進が、現実の問題として現在の日本の政治・経済に「構造的」に存在する姿を、鋭く描いて指摘している・滅多に得られるものではない識見であると思われる。ぜひお読みになって、自分が考える「国政」の参考になさるがよい。/ 前編。「エンゲル係数は43年ぶりの高水準で『世帯年収1000万円超』でも"生活が苦しい"..参院選を左右する『日本が先進国ではトップクラスの貧困層』に転落した背景」。/ 後編。「生活苦にあえぐ現役世代が『自公』『立民』ではなく、『参政党』を支持する理由..もはや『無為無策』と『現状維持』に耐えられないという切実な声」。/ この前編・後編の全体は、デイリー新潮編集部記者による文書だが、後編に示される「現在の日本の政治・経済の『構造的』姿」は、政治アナリスト伊藤淳夫氏に聞いた話を、記者がまとめている。
/ 日本の現在のこのようなありのままの姿は、とても否定しようのないものだ。この現実をしっかりと認識するのが、まず大事だと思う。選挙後はどうしても世直しに入ることになるが、それは当然、決してやさしいことではない。まさに政治フアーストの姿勢で、国民的に取り組んでゆくほかあるまい。
2025-07-16 13:25:00
今の日本の参院選にみられるように、日本の「内向き」がはっきりしてくると、欧米、とくに米国は国際関係にたいへんに敏感であるから、さっそく「いろいろ考える」に相違ない。/日本の「内向き」が明瞭になると、現実のところ、一番困るのは米国である。米国にとって当てになる「外国」の「同盟国」、とくにアジアの覇権争いで、日本ほど強力で、いざとなれば当てになり、しかも米国の思惑通りに動いてくれる国はまたとない。そのことを米国の国際政治に明るい米国人たちはよく知っている。このまま放置すれば、日本は「独り歩き」の方角を取り、いったんそうなれば米国の手元には二度と戻ってくるまい。/その程度ではない。もっと恐ろしいことに、日本がどこかの国と組んで、その勢力の「前衛軍」として米国のアジア太平洋岸に攻め寄せてくるという悪夢である。(実際そういう事態を夢想する米国人もすくなからずいることを、知る人は知っている。いわゆる「地政学上」の日米激突の宿命というう奴だ。)/過日ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏の対日政策を危ぶんで、「日本の安定をこれ以上脅かすな。米国の国益にならぬ」という記事を書いた。/トランプ氏よまだ間に合うぞ。急遽東京に電話して、石破首相に対して、「日本のかけがえのない国際的地位を尊重して、今までの無礼はすべて取り消す。今後よろしくね。」と「公式」書簡を書く手順にすればいいだけだ。それで石破内閣は蘇って多数派となり、日米安保体制はいよいよ固くなるという次第。/選挙中にこんな知恵を「敵国の大統領」につけるのは、選挙違反かしら?案外にトランプ氏は私のネット記事を読んでいるかもしれないよ。現代の宇宙に舞い上がり、反対にナノ以下の微細な世界に沈殿する(レトリックでいっているのではない、本当に言っている)時代に、できないことは少ないのだ。