インフォメーション
2025-07-23 05:05:00
米国社会の過去80年間の大雑把な姿を考えるために、ロバート・ライシュ氏『最後の資本主義』東洋経済、2016年、の議論を参考にする。この人はクリントン第1期政権の労働長官を務めた人である。以下でのカッコ内は同書の頁。/米国経済は第2次大戦後の約30年間、1950年・1960年代は黄金時代で、勤労者の生活も安定していた。ところがその後1980年代を境に今日まで、米国内の貧富の格差は急拡大して行き、大戦後30年間は大企業のCEOの所得は平均的労働者の20倍程度だったが、今では実質的に労働者の200倍以上になっている。(はじめに 6頁)/経済社会の基本になっているのは株式会社である。その株式会社において、1980年代に、劇的な変化が起こっていた。それより以前には、米国の大企業では、「企業経営者たちは自らの役割を、投資家、従業員、消費者、一般国民、それぞの要求をうまく均衡させることだと考えていた。大企業は実質的には、企業の業績に利害をもつすべての人々に『所有』されていたのである。」(23頁)/「株主主権」という「新ルール」は、(1930年代以来の)米国では、1980年代の所産であると、している。それ以前は「株式会社のステークホルター・つまり経営者も従業員も・」が「株式会社の主権者である」と言うのが事実上の株式会社のルールであった。「株主だけが会社を所有するという考えは、1980年代に企業の株主利益を最大化したい乗っ取り屋が、経営者に対して『採算性の悪い』資産を売却し、工場を閉鎖し、借金をもっと引き受けて、従業員を解雇するよう要求し始めた頃に出てきたものだ。」(23頁)つづく