インフォメーション
2025-07-03 08:49:00
7/2 18:47 CNN.co.jp 配信。「トランプ氏、『甘やかされている』日本に警告、米国と貿易協定結べない可能性」。7/9期限の「相互関税」適用延期は、延長しないと。トランプ氏は日本の対応に不満で、対日関税は30-35%、あるいは「米国が決める率」にしたいと言い放つ。/この記事にはたくさんのツイートが付いているが、その全体から、「日本国民の意向」は察しられよう。ツイートの大部分は、「トランプ氏のいう事は、不法不当」で、トランプ氏がやみくもに無茶な対日関税を強行するというのなら、「そうさせておくがよい」。われわれは「つまらない頭の下げ方」はしませんよ、という事だ。
2025-07-01 13:51:00
知っての通り、世界史上、フランス市民革命はあったし、イギリス市民革命もあり、アメリカ市民革命(アメリカ独立戦争に伴ったと考えられている)もあった。しかし、「ドイツ市民革命」というものはなかった。マックス・ウエーバーは、市民革命が資本主義という経済体制の成立に符合した政治的変革として起こったと考えるのだが、かといってこの「符合」が機械的なものとは思わない・ヨーロッパキリスト教社会に起こった「宗教改革」という、いうなれば宗教・思想革命が西欧各国に起こした衝撃が原動力にもなっていると考えるわけで、ドイツのルッターの宗教改革、次いで起こっているスイスのカルビンの宗教改革、これが強く影響してイギリス革命、フランス革命、アメリカ革命になっていると、主著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で論じている。たいへんに精妙な議論だ。/で、ドイツにはなぜ起こっていないのか、ドイツはどうなったのか。/ドイツ人たちは、ドイツ民族が無知蒙昧だったとは露思っていない。ぞくぞくと近代人が成立していたが、ただ、そういう者として自立的な国家を作り、自分たちの代表者をそこに据えるという、フランスやイギリスやアメリカがやったのと同じことはできなかった。なぜ?とドイツ人に聞いてみたいよ。ドイツ人が歴史的にやったことは、国民的国家を作ったが、その支配者を「外からやってくる」状態にした。それが19世紀のドイツ帝国、ヴィルヘルム皇帝治下、宰相がビスマルク、その下に参謀長モルトケなぞという人物もいる。マックス・ウエーバーが円熟期にあるときに、かれはドイツ帝国の臣民である。なにこの論法は日本もそうだ。近代化した日本人・「四民平等」をうたうべき日本国民は、すでに理念的には成立している。しかし自律的な代表を持たない。明治国家という神聖な天皇制国家を頭に担いでいる。ドイツとよく似ているのだ。明治維新の元勲たちが制度調査のためにヨーロッパを訪問した際、ドイツ帝国憲法をみて、「日本もこういうのにしよう」と判断したというのは、有名な史実であろう。/つまり歴史的には、明治維新の中に近代を見るしかないのだ。悩ましい大論争が後年日本人の間で起こるのは当たり前のこと。しかしポイントはわすれるわけにはゆかない。/20-21世紀になっても、このようなドイツ的「市民革命」は、やはり難問のタネとして存続する。20世紀の「全体主義」「軍国主義」「ファシズム」という政治体制は、このドイツの国家体制として現れたからだ。(日本もそうだったという事を忘れては困るよ。)/今、「過去80年の欧米自由世界」(この中にはわが日本も含まれると思うよ)の「民主主義と平和主義」、というとき、その中に「全体主義」「軍国主義」「ファシズム」の要因が何らかの形態であり得たかどうか。/ハンナ・アーレントの議論は入口は狭いが、20世紀全体主義を主要な批判対象とした思想家なので、学びうる点がありうるのだ。
2025-07-01 05:47:00
6/30 21:30 草の実堂 配信。「イスラエルとイランは、かつて『仲間』だった?~1970イラン革命以前の関係とは」。/これは現在のイスラエル・イラン関係を理解する上で大変に貴重な配信記事である。/私のいう最近80年間の世界の姿を理解する上でも非常に貴重だ。/ただ、私は、この記事を読んだうえで、私の観点や知識を追加した「感想」を、以下に簡単に述べる。上記「草の実堂」の記事をよくお読みの上、以下を読まれよ。/1979年ホメイニ(師)革命以前のイランは、国王専制国家である点では他の中東イスラム国家と同様であったが(ただ、イスラム教派としては独自だった)、イスラエルと友好関係にあり、イスラエルから農業技術を輸入したりして、親西欧的であった。それが1979年のホメイニ革命で、一転して反イスラエルに変わった。(他方でイランは、イラク同様、非国王イスラム国である。つまり一種の「明治維新」を行ったイスラム国だ。)トフラー氏は中東諸国で知識・情報産業がはなはだ遅れていることを嘆いているが、私見では「明治維新がない」ことが問題の背景にある。(日本人にしかわからない「言論」で、ごめんなさいね。つまり私は、イスラム教国共通の遅れを「明治維新がなかったこと」と考え、米国の中東政策はあえてこの「遅れ」を維持するようにさせた、汚い政策だと考えている。逆に「明治維新を敢行してしまった」イランとイラクに米国は厳しく当たる。)これがイラン、イラクが経済構造を突出させるようになった背景であり、今日、イランが核化政策をとろうとしている背景である。かつてブッシュ氏がイラクを完全に武力制圧したように、トランプ氏の今日の非公式の野心もブッシュ氏の先例にならってイランを完璧に武力制圧することかもしれない。こうして今日のイスラエルとトランプの蜜月が現れると。/この「明治維新」というのは、近代欧米社会の場合には何に相当するのだろうか。私見では、「ドイツの市民革命」だろうと。はて、ドイツに市民革命などあったかしらとあやしまれるだろう。でも20-21世紀のドイツ人は間違いなく合理的な近代人だよね。ではドイツ人はいつたいどこで中世的秩序から脱しているのか。これは有名なマックス・ウエーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波文庫、1998年に聞いてもわからない。ドイツ人の著者ウエーバーは正真正銘の近代人。世界の近代人たちに近代人とは何かという教えを垂れている古典的名作だ。むろんウエーバーその人も自分が近代人であることを露疑わない。そのドイツで「市民革命」に当たるものは何なのか、どうしてどのように、それが市民革命に当たるのかと問われるなら、おそらくウエーバーは本能的に答えたくない、のではなかろうか。それを私は「ドイツの市民革命」と呼ぶのである。なに、日本人だって同じ事さ。「どのような日本の市民革命」があなたがたを近代人にしたのかと問われると、「うーん」とうなって、答えにくいだろうね。ウエーバーとて同じこと。/ハンナ・アーレントは、ある意味で、この難問に応えている面がある。彼女は、どうして、いかにして、このドイツという国家と政治がありえたかを、一生懸命問い続けた。