インフォメーション

2022-06-24 18:07:00

連邦準備銀行がいくら金利を上げたからと言って、いま高値を付けているエネルギーの値段も食料品の値段も下がるわけではあるまい。米国経済を批評したアナウンス。私はこう聞いて、直観的に感じた。今や以前に言う「ブリックス」(ブラジルやインドや中国やロシアや)の経済と米欧日の経済が対極をなしてしまって互いにそっぽを向いている気味があるので、米欧世界の「金利上げによるインフレ抑制」という狙いが空を切ってしまう。米欧日の対ロシア金融制裁も、ロシアがルーブル支払いに結び付けたエネルギー販売策でルーブルが戻してしまうと、期待された迫力を失ってしまった。*ところで十数年前のリーマンショックのさい、「今後の世界経済の立ち直りのためには、新興諸国の発展による世界経済への寄与を特に期待する」というような空気があったことを思い出した。そうするとウクライナ危機が存続する今後は、米日欧経済とブリックス経済が違和感を持った状態で進むことになるが。この「出口」はどういうことになるのか。「グローバル経済」とかはどこへ行くのか。

2022-06-22 11:32:00

D・デイラード『J‣М・ケインズの経済学』東洋経済新報社、1973年/1989年。これはたいへんわかりやすく「ケインズ経済学」を説明していて、ためになりそうだ。もっとも、「わかりやすい」というのは相対的な言い方で、なおかつ読み進むのには努力がいる。たった200円で入手。そして、岩田規久男『日銀日記』筑摩書房、2018年。日本銀行副総裁として「異次元緩和」「2パーセントのインフレ・ターゲット」政策を黒田総裁を補佐して励行してきた人で、かつ、教育者として「正確にわかりやすく」教える立場の人だったから、じつに綿密に「事態」を説いている。この問題についての得難い解説書であろうと感じた。むろん「わかりやすい」というのは、努力しないで読み進められるということではない。こちらは、ブックオフとしては「異例」に高い700円で買ったが、これに匹敵する本は少なかろう。*ただ、あえて言っておくが、この岩田氏の立場はいってみれば江戸時代の朱子学の正しさだ。現在の社会を資本主義社会として維持・存続するのがこの議論の大前提で、そういうなら、じつにケインズ経済学の「正しさ」も同様だ、しかり、岩田氏が説く議論はケインズ経済学を当然の下敷きにしている。(むろん一般理論そのままということはない)だから、ここに陽明学的態度が現れれば、それとは直には対応するものではない。*もし資本主義の構えの中に重要な変化が加わったらどうなる。もし宇沢弘文『社会的共通資本』岩波新書、2000/2021年、(この本は定価で買った)のような公共性を資本主義に強く付与したらどうなる。さて、小坂直人『経済学にとって公共性とはなにか』日本経済評論社、2013、に人々は「公共性」をどう考えいるのかと問うなら、(この本は220円で入手)第1章から第3章まで、たいへんバラエティに富んだ(とうてい一筋縄ではない)意味で今の社会がこれを語っているのを発見する。「このようにいろいろな意味がある」ことを提示されたこと自体が素晴らしい手柄だとおもう。なんとかなり多くの人々が、企業が存続していることそのこと自体を「公共性」だと思っているようなのだ。*ケインズは古典派経済学批判を行ったが、古典派はいうなれば「小生産者社会」を想定しているがゆえに、「社会主義的なもの」も社会の中に想定しうるという「ゆるさ」がある。しかしケインズにはそういう「ゆるさ」はない。私が「現代の朱子学」とあだ名するゆえんである。*さてそれにしても、どの派でもよろしい、気候変動をどう処理するのか。*参議院選が今日公示されたので、しばらく言論に制限を受けることになろう。

2022-06-15 08:48:00

コロナ禍でどうしても逼塞が続く。自宅で時間を過ごす生活で、新聞やテレビは重要な要素だ。そして読書もまた、重要な要素。この際ワンパターンの読書ではなくて、いろいろと方向の違う種類のものを読みたいが、そういう読み方は新刊では到底果たしがたい(新刊はどうしもワンパターンになつてしまう)。古書はそこへ行くと違う種類のものを潤沢に提供してくれる。新聞・テレビ・ネットは、「今の問題の今の見方」で問題を出してくるが、読書ははるかに広く、長い時間の問題提起をしてくれる。昨日入手した10冊の本は、全部でたったの2千円、その中にキツシンジャーが2001年に出版した本があり、いまのウクライナ危機で攻勢一本やりでない議論をしているとネットで伝えられている人物がじつはキッシンジャーだったので、これを買う気を起こした。お値段たったの110円。

Henry Kissinger, "Does America Need a Foreign Policy? Toward a Diplomacy for the 21st Century.", Simon & Schuster, 2001.

この人物は、ニクソン大統領が米中和解をしたときに米国の外交を代表していた。この米中和解に我が国の田中首相も乗って、日中和解をした。いいも悪いもない、これが史実。

外国の本は、巻を開くや否や、本の狙い、本の眼目、をさっとわからせてくれる。大きい話から分からせ、小さい話に運んでゆく。キッシンジャー氏は、第二次大戦後の米国の外交基調は、1.冷戦期、2.ポスト・ベトナム戦争、3.いまの「グローバリズム」、と経過してきたが、だんだん国民的に、外交というものがスポイルされるようになってきたという強い感触を持っているようだ。「米欧(日本もその中に入れてくれている)世界内部をみるように世界を見るのは不適当」と考えるわけで、したがって非米欧世界に対処するには特に外交のありようを吟味すべきだとしているわけだ。ましてや、21世紀の世界を見るときに、グローバリズムという経済基調の「秩序」と世界の現実の政治秩序を同一視するようなことがあってはならぬと。

これはおのずと、「経済制裁」を主要な攻撃手段としていることへの、「自戒」に繋がろう。その程度には、だれでも読めると思う。

キッシンジャー氏は、世界を、民主主義の世界(欧米)、民主主義の世界(アメリカ大陸)、アジア、中近東、アフリカと分けている。さてロシアはどこへ入るのか。  「アジア」に入れている。そして面白いことに、民主主義の世界(欧米)の説き起こしが、欧州の指導者たちが、ロシアの指導者(エリツィン、プーチン)との交渉をもとに、欧米関係を相対化しようとする傾向を指摘し、「いったい何をもとにロシアの指導者を協調者に選んだのか」「原則もへったくれもない情緒的判断ではなかったのか」とまあきついことを言っている。

わが安倍前首相がこの本のさわりでも読んでいてくれたら、北方領土交渉があんな風には運ばなかったかもしれないな。いやいやこれはウクライナ危機とは関係のない独り言。

 

2022-06-13 18:39:00

このところウクライナ危機はなにやら転機を求めて、微妙な動きをしているようだ。/「ウクライナ側」でも「ロシア側」でも、その内部から、「紛争の終息」を求める「声」があるようだ。近代の政治だもの、その内部に消極論もありうることは当然で、「一切消極論はない」ほうがよほど奇妙だろう。ただ、今までまつたく聞こえてこなかった消極論が今聞こえても来るということが、注目されるだけである。/なになに、NATOでも、東欧は主戦論がつよく、独仏は慎重論が強い? 当然の傾向かもしれぬ。/今日のニュースではバイデンもなにやら批判がましいことを言っていた? むろんだから急にウクライナ危機が終息するわけではあるまい。

2022-06-13 18:34:00

最後の対中日3連戦で見せた日本ハムらしい戦いは、たとえリーグ順位が何であろうと、日ハム人気を再起動するきっかけになるだろう。