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2015-07-07 23:39:00

伊達市は、地図でごらんになると、室蘭市のちょっと上に位置する、「比較的温暖で雪の少ない地域、もともと移住者に人気があった」(伊達市長の言)。現在の伊達市長、菊谷秀吉さんが、市長に就任した2002年に「ウエルシーランド(豊かなまち)構想」を打ち出し、「市認定の支援付き高齢者マンションや、高齢者が安く使える相乗りタクシー事業を始めた。官民連携による優良田園住宅も郊外に造成した。」こういった施策が功を奏して、「2007年までは伊達市への転入者が転出者を上回っていた。」

「しかし08年以降、人口の社会増は頭打ちになりました。移住者のニーズに合った住宅が供給できないからです。土地はあっても、宅地造成する企業はリスクを恐れて出てこない。中心市街地に空き家があるのに、郊外で宅地化を進めるわけにはいきません。中心部を再開発し、移住者好みの広い区画に再編して提供できればいいのですが、不在地主の問題があり難しい。それは地方の自治体がどこも抱える問題でしょう。だから、現状のままで再び高齢者を受け入れろと言われても難しいのです。」

これは、北海道新聞7月6日号 9ページ゜に掲載された「月曜討論 高齢者の地方移住促進は可能か」という特集記事の、左側の欄に「人口分散化策とセットで」と題した、伊達市長菊谷秀吉さんからの聞き取り記事から、まとめたものです。「」内は菊谷さんの言葉です。

日本創成会議が言われるように、東京圏の75歳以上の高齢者がそのまま東京圏に居れば、医療介護の施設や人材が不足するのが目に見えているから、受け入れ余力のある地方、例えば北海道に高齢者の移住を促すよう政府に提言した、というわけです。

北海道で「適地」と日本創成会議が指摘するのは、旭川、帯広、及び道東の釧路と北見。そして道南の(伊達市を含む)室蘭、および函館、という6地域である、と。「医療」の「受け入れ余力」を7段階評価して道内「適地」6地域はいずれも「7評価」、「介護」については、室蘭が6、函館が5、旭川、帯広、釧路が4、北見が3という評価であるという。「物価安く、医療・介護に余力」という見出しで、、記事の右側の欄にまとめられています。

そうすると今後は国策上 北海道は、東京圏の高齢者のかなりを引き受けるべく、いま現在どうみても不完全といわざるを得ない医療体制を抜本的に充実してゆくのだということなのでありましょうか。たとえば、札幌市の精神医療体制はいままで存在していたはずの病院が維持できなくなるほど弱っていないか。江別市の公立病院が、正規の医者がみないなくなったと騒いだのはつい数年前の話だ。北海道の産婦人科はどこにいても利用できるようになっているか。(高齢者を招くのだから、産婦人科はいらないというかもしれないが、高齢者をおもてなししている大量の福祉労働者の出産は、どうでもいいというのか。)

伊達市は、数年間の貴重な経験をして、住宅問題という隘路に出あったと言っておられる。そして高齢者移住の前提として、もっと会社が地方に来てくれ、若い労働人口が地方に来てくれ、としておられる。どうしたら会社と労働人口が北海道にくるようになるのか、そういうことと合わせて高齢者問題を考えるというのは、確かにこの問題の正論ですね。

たいへん貴重な特集で、大いに考えさせられます。どうぞ直接に北海道新聞の記事を読んで下さい。

(伊達市には、もうひとつの切口があります。ご存知のようにここは旧伊達藩士が明治維新のさい移住して開いた土地です。3年数ヶ月前に東北大震災があったとき、福島、宮城、岩手3県の被災人口が移住先を求めたときに、伊達市は有力な移住先になったはずだ。確かイチゴの栽培を宮城県から持ち込んだ人もあったはずだが。福島県の海岸線東端に、亘理町がある、これはもと伊達氏亘理藩だとおもうが。)

伊達藩からの北海道移住は、百数十年の年月を隔ててはいるが、北海道移住の目だった話題だが、それだけではない、日本海側諸県から大量の移住者がこの百数十年の間に北海道に渡ってきたわけです。以前新潟大地震があったとき、その安否を気遣う電話が殺到して電話線がパンクしたが、北海道民の10人に1人が電話していたそうで、いかに裏日本と北海道の血のつながりが濃いかが判明したといいます。

移住のお話が、大きくなってしまいました。