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2025-04-23 08:18:00
「行人」は、夏目漱石晩年の著名な作品。主人公一郎が、妻お直と弟二郎の不貞という妄想に苦しむという小説。主人公が「おのれこそ絶対」という想念にたどり着くが、しかしその想念ゆえの撞着に苦しむという精神小説。ところが同じく漱石は「則天去私」を理想のように述べ、読者を苦しめ続けてきた。ところで作品の題の「行人」とは、中国の王朝では国際間の「使者」の意味で大変重要な意味を与えられていたと。この小説では、主人公の弟である二郎が、お直への婚姻の申し入れの「使者」に立っていて、したがって主人公よりも先にお直に親しんでいたことが、主人公の妄想の重大な要因となる。「行人」が題となったゆえんである。この憶測は、筑摩全集類聚・夏目漱石全集6、昭和46年・昭和60年刊行、中の吉田精一氏「解説」によった。現在展開中の米国政府と日本政府の双方とも「家産制」宮廷だが日本のほうが家産制文化は年季が入っている、の中で、日本側が派遣した赤木氏が、「一体代表なのか連絡役なのか」と衆目は迷うけれども、これは「行人」という使者、たとえその人が三下奴であろうとも、米国側が要望する件を日本側が快諾したということを伝える使者であることが重要である。ただ、つんぼ桟敷にある日米両国民にどのように事態を示すのかという難しさに、両国がいまは呻吟しているだけのことだ。なおこの「使者」と言う説明は『広辞苑』にはあった。