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2022-11-16 20:46:00
「あれから25年。世界を震撼させた破綻劇を広い視野で総括し、歴史の教科書に刻む頃合いだろう。特記したいのは当時はあまり語られなかった国際金融を巡る日本と欧米諸国とのパワーゲームだ。」「日本のバブル経済は米国の貿易赤字とドル高を是正する85年のプラザ合意が発端だ。地価や株価は急上昇し、邦銀は資産額で世界10傑を占める破竹の勢いを見せた。日本への嫉妬と反感を背景に各国間で88年に合意されたのが国際的な銀行に8%以上の自己資本比率を求めるBIS規制だった。」「資産を膨張させていた邦銀は資産を圧縮するため貸し渋り、貸し剥がしに走らざるをえず、地価下落と不良債権増大の悪循環に陥った。バブル破壊と拓銀破綻は欧米諸国が仕組んだ『日本たたき』の帰着点でもあった。」「最後の拓銀頭取となつた河谷定昌氏は著書で『銀行救済の道を開くいけにえにされた』と振り返った。銀行への公的資金投入をためらっていた政府には、拓銀破綻が政策転換の格好の口実となった。」(鈴木徹記者)だいぶ長く引用させていただいた。議論する方がいて議論するのは、非常にやりやすい。拓銀の破綻は北海道経済の悪夢だった。(それにしても、第2地銀であった北洋銀行との合併とはね。)BIS規制の問題はクー氏も触れていないわけではないが、日本の1990年代のバランスシート不況を歴史的に跡付ける際に、欠かせない議論である。(ただ、拓銀破綻のわずか数か月まえに小生は拓銀の行員2人と話し合ったが、「拓銀がこの程度のことで倒産するものですか」と大笑いしていたのを思い出す。)さて、拓銀破綻から25年(4分の1世紀)たった。あなた、日本が1990年代のバランスシート不況から、いますっかり脱却したとおもっていますか。クー氏は著書の中で、橋本財政再建や小泉構造改革、そして消費税増税を、特に批判のやり玉に挙げた。なにせクー氏の本は2003年で切れている。それから今日に至る約20年。問題は終わったのかね。クー氏も本書の中で、1990年代の前段階として、1885年プラザ合意。ここで日独通貨が米国通貨に対して恐ろしい価値変動を起こしたことを、力説している。鈴木さんはBIS規制が「欧米諸国のパワーゲーム」だといっているが、BIS規制そのものがなにやら得体の知れないところがある。なぜ8%なのか。私は伝手をもとめて、BIS内部の人の意見を求めたが、半年たって、「やはりよくわからない」という私信が来た。それから、クー氏も指摘する通り、1990年代に米国の大銀行は公的資金供与を受けている。