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2022-10-27 09:07:00
昨日まで4回にわたって、「文字というありよう」という題で、10月25日、NHK、BS3、「ヒューマニエンス 人類と文字の出会い」という教養番組を視聴した感想を述べていた。その感想の中で私は、漢字のありようにも触れる機会があった。/しかしいま私は反省している。漢字の問題を一般的な文字の歴史的考察から切り込むのは、たいへんに一面的ではなかろうか。また、漢字だからというので、これは字形それ自体の問題ではないかと考えるのも一面的。日本語の使い方、使われ方の中に漢字の問題は存在するのだから、「日本語における漢字」「日本語の中の漢字」として問題をとらえなおしてみたいものだ。むろん文字一般の歴史的・科学的考察にも、学ぶべき点は多々あろう。/もうひとつ。歴史的な漢文の中に存在していた漢字が出発点なのは確かだが、しかし漢文における漢字と、日本語における漢字では、論点に画然とした違いがありはしないか。むろん漢文における漢字ということがそれ自体として重要だろうとは思うが。私はやはり「日本語における漢字」を追求していたのだろう。/いま手元に大野晋『日本語の年輪』新潮文庫、初版昭和41年(私は平成11年、第52刷を所持している)、で「日本語の歴史」を回顧し、漢字がどのようにして現代日本語の中核の地位にあるかを考えてみたい。これは予告。