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2022-10-26 13:14:00
10月25日、NHK、BS3、「ヒューマニエンス 人類と文字との出会い」を視聴しての感想。文字というありよう(3) 文字の力能。「文字にどんな力能があるか」。言葉を文字であらわし、その記録を他人に見せ、この記録を保存して将来に残すことで、言葉であらわした内容が定着し、他人に伝えられ、その記録・記憶が将来にも残る。文書記録という文化遺産はますます膨大となって、人間の記憶を助ける。まさに文化遺産。言葉のままでは、情報力、記憶力、それぞれ非常に局限される。 ところがこのような文字の力能は、その裏側では、権力者の支配・統制の下に置かれやすいという性質が伴うことになると、番組は教えてくれる。言葉のままであれば、権力者の支配力は文字よりはるかに及びにくいと。言論の自由というとき、言葉のレベルでの自由と、文字・文章のレベルの自由では、次元が違ってくるだろう。だから世にいうではないか、「筆禍」と。 「権力者による文字の独占」は、封建時代に下がっても見られた。「文字を独占する者」がまさに支配者階級の標識である。庶民は「識字率の高さ」という点で、支配者階級とはっきり区別されている。しかしわが国の江戸時代の庶民識字率は大変高くて、70パーセントほどと推定されている。他方同時代の英国の庶民識字率は20-30パーセントぐらいのものだという。宗教的背景が、西欧のキリスト教会とわが国の仏教寺院という相違は、なにかの役を果たさなかったかな。