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漢字の学習(2) 長澤規矩也『三省堂漢和辞典』三省堂、2010年。しばらくこの辞典をガイドとして、この辞典が行っている部首索引のありようを紹介する。「これならうまくゆきそうだ」と、私は感心した。
まず私は「親字(おやじ)」という聞きなれない言葉に出会った。(なーに、私が聞きなれないのは、たんに私の無知からくるもので、そもそもまともに漢和辞典を引いたことがないので、そういう作業に際して知る必要のある言葉を、私が知らなかったのだ。)親字とは、つぎのようなことである。「今日の漢和辞典というものは、漢字の一字ずつについて、古来わが国で使っている読み方と漢字のもとからの意味とをしるし、その説明のあとには、その漢字--親字といいます--が頭についている二字以上のことば--熟語といいます--を並べて、その発音と意味とをしるしたものです。親字は、多くの漢字の中から、共通部分を取り出して、共通部分ごとにまとめてあります。この共通部分を部首というのです。」同辞典4ページ。この親字、熟語、部首という言葉を、当然のように念頭に置かないと、漢和辞典はさっぱりわからないことになる。
漢字の組み立てはこうだとまず述べてくる。「漢字というものの多くは、左右か上下かに二分できます。左右に二分したとき、左半分を偏(へん)といい、右半分を旁(つくり)とよび、上下に二分したとき、上半分を冠(かんむり)といい、下半分を脚(あし)とよびます。」同辞典4ページ、のように「偏旁冠脚」を説明する。ところがこのように理解していると、まったく想像を絶する事態に出会うので、どうも初心者は訳が分からなくなるというので、なんとかこの「偏旁冠脚」という理解で引けるように漢和辞典の側で工夫しようではないのかというのが、この長澤氏の辞典である。この辞典の6--7ページで「親字の引き方」という「親字の見つけ方調べ方の練習」を示している。愚直にこの実例に従ってみることだ。(この文章ではとても紹介しきれない。)
いま引こうとする親字の偏なり、旁なり、冠なり、脚なりを(つまり部首を)探したら、辞典でその部首の箇所のページを開き(辞典巻頭の部首索引に、どのページを開けばよいか示してある)、対極の部分、つまり偏なら、右側、旁なら左側、冠なら下半分、脚なら上半分、の画数を数え、その画数にあたるページを開くとその辺に引こうとする親字が存在し、その親字の読み方、意義、その親字で始まるいくつかの熟語とその意味、が書いてあるという次第である。うーんこれなら何とかなりそうだ。いかがですか。