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木曜日・曇・札幌。☆英文のwritingと言えば、パラグラフ・ライティングを考えるのが大勢であろう。それはそうなのだが、いま日本の英語教育で言われる程度のパラグラフ・ライティングであれば、数週間で要領がつかめるだろうとともに、その程度では書く英文が固くて、ぎこちない。とくに指導する側であれば、このうえ一体どう工夫するのかが、容易には展望できないであろう。☆さすが英米の参考書であれば、はるかに広い構えで指導する本がある。いくつか紹介してみたい。☆最近入手したWritingという本。J.A.W.Hefferman,J.L.Lincoln,J.Atwill共著。Writing A College Handbook,Fifth Edition,W.W.Norton & Co.,2001.800頁ほどの本。米国で出版された本で、大学で実地に学生に英文を書かせている先生方が執筆している。みたところは、単純な文章作法・といってもレトリカル・ライティングを重視しているが・に第1部200頁を割いた後(パラグラフに触れるのはその中のせいぜい30頁、あとはそのパラグラフを構成するレトリックに主力がある)、第2部200頁余で「文」を細かく説明し、第3部50頁ほどで「パンクチュエーション」を説明する。第4部100頁弱は、いわば文を書くための材料集めを説き、第5部100頁弱は、Literatureをまず扱い、次にその他分野を語る。最後の第6部100頁ほどは、まあいってみれば実用的文を扱う。☆多くの場所で学生が書いた英文が例文として扱われている。気のせいか、全体に経済のことが例文としてよく取り上げられている。一体米国の「アカデミック・イングリッシュ」は、2年次以上になると、「法律の文章」とか、「美術批評の文章」とか、学生の専攻に応じて枝分かれしてゆく場合が多いが、この本は、「文学」を前面に出したところがうれしい。☆本の全体は一種の「事典」のように編集されているから、学生が文を書くときに再三参照するよう期待されているわけだ。☆こういうのを読んだら、日本のパラグラフ・ライティング教育も進化するだろう。