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2020-04-19 20:37:00
そんなにネット上外国語教育を発達させて、それが高等教育上どう研究に役に立つのかと思う人がいるかもしれない。パースペクティブとかが目に見える形で見えないというかもしれない。これは非常に多岐にわたることなので、むしろ私でない人のほうが、説得的に語ってくれるだろう。私はせいぜい自分の殻の中で、自分の目に見えるという程度の形でしか語れない。そのささやかなパースペクティブを書いてみよう。★いま私の手元に、A Bibliography of Finance, by Masuiという書誌がある。1935年 Tokyo Keigyosha Press , Maruzen Co.,Ltd. と出版元が書いてある。戦前1935年に丸善から発売された。神戸商科大学 Mitsuzo Masui という人の編纂になる。書誌内容は、1900年以降と1900年以前に分かれている。収容されている書目の発行年がね。1900年以前は、1700年以前と1700年以降に分かれ、後者は25年おきぐらいになっている。1900年以降は10年おきぐらいになっている。内容は金融経済。★20世紀に大転変を遂げ、21世紀にさらに恐るべき大転変を加えつつある金融経済を、近代という大きな視野の下に置いて考察するときに、この英米仏独語に亘る書誌は大きな役立ちをすると思う。★そりゃ結構だが、これらの本がおいそれと手に入るものではなかろうという人があるかもしれない。★事態はここ20年ほどの間に驚異的に変化した。いや、こういう動きが始まったのはわたしの知るかぎりでは1980年代の中頃からだ。★グーグルが片っ端から文献の電子データ化を行っていて、そのコピーの主力は図書館蔵書、英米欧の図書であった。★こういう古い書誌にあるおびただしい文献が、どんどん電子データ化されている。書目を引くと、なにやらの形でデータ化されていることが分かる。図書館機構を経れば、研究者が電子的に目にできる。★こういう壮大な研究が、今の人々は、当然のように可能なのだ。ちょつとした基礎教育と手がかりさえあればね。★そしてこれからの日本人がこういう資料を駆使してとんでもない金融の本を書ける日が来る。その人にこうほざかしてみたい。「ナニ英米の金融を論ずる本を外国人が書いても不思議はない。最初のまとまったイングランド銀行史を書いたのは、イギリス人ではなくて、ギリシャ人だったものね。」こういう暁には、日本の銀行のお偉方が外国へ行って、Acceptance liabilities where stated という文言をみて、「こりゃ一体何のことだ」と言って欧米の銀行家たちをあきれさせた、などということはきつとおこるまい。(この書誌の中の本に関する限り、日本国内の特定のいくつかの図書館に、かなり多くが大事に保存されているであろう。ところがね。日本にある本を、日本の研究者が読もうとすると、得体の知れない苦労をさせられる場合が少なくない。)