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2019-10-08 18:43:00
1980年代、わたし米国のミシガン大学で2か月ほど調べごとをしていて、毎日大学キャンパスの中で食事していた。そこの日本人社会でこういうことがあった。大学図書館で働いている日本人男性がいる。このひとは独身で、キャンパスの付近でちゃんとした家を借りて生活している。この家の立派さは、日本にいては同じような身分では到底叶えられない立派なものだとその人自身も自画自賛していた。★ところがその人はいま、うつうつと楽しまない。実に何年もの間、その人の給与待遇は変わっていないと嘆く。(最初は驚くほど高給だとおもっていた。)ついつい日常、酒・たばこの分量が多くなる。(日本から見ると、米国社会は、ありとあらゆる酒が大量に、比較的安く売られている。同じくタバコは、いえいえ大量の高級な葉巻が、驚くほど安い。日本との比較でね。)あまりにひどい状況になると、救急車が病院へ運んでゆく。(そういう状況がよくわかる日本人社会は、お互いそうならないようにしようと、日夜話し合っている。)この人の職務は何年いても変わらない。あの広い図書館で、あっちこちに置き去りにしてある本を、手押し車で集めて元の位置に戻す仕事だ。出会う大学生どもに悪態をつきながら、この職務を日夜務める。家に帰ったらうまい酒をがぶ飲みする。★この人が「状況」を変える機会は只一つ。転職することだ。妥当な新給与で転職する機会が、ひょっとすればある。あまり遠いところではなくて、割のいい潜在的ポストがあればそれを朝な夕な伺う。(その反対に、自分の今のポストをとられないように朝な夕な潜在する敵から身を守る。)(私なんぞ風来坊だが、日本人には違いない・日本語教師たるの潜在的可能性がある・そこでいつのまにかそこいら辺の日本語教師が、日夜警戒して私の近くへ観察に来る・イヤな社会だよ。)★広く米国全体を見渡しても、図柄は同じ。そこで数年おきに、車を使って、遠くの州に飄然と転職してゆくのがこの国のあたりまえのありようである。★この光輝く近代国家、これがいい社会と思うか、悪い社会と思うか。★しかし多くの日本人は、やがてはここを切り上げて日本に帰ろうと思う。帰った場所が狭い、こちゃこちゃしたウサギ小屋でも、仕方がない。毎晩バスタブに浸かれればよい。