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2019-05-26 08:52:00
平成30余年全体を見通した議論というのは、平成の初めに当たって、なかったのではないか。★もちろん実際にはたくさんの見通しが平成の初めに語られていたはずだが、その見通しが恐ろしい有効性を備えて平成30余年間存立しえた議論というのが、このトフラー氏の「パワーシフト」しかなかったのではないのかと、私は指摘している。(実際はトフラー氏は1990年から2025年までを予想範囲としていた。どうして2025年なのかはよくわからないが。2025年はいまから6年先だ。)★トフラー氏「パワーシフト」(英文)は、いま私の手元で、表紙はちぎれ、裏表紙は赤茶けて、本文もやや黄ばんでいる。しかし健在。短いわかりやすい英文でどんどん言いたいことを言っている本。この本の内容は複雑だが、切り口は単純。剣(武力)、宝石(経済)、鏡(知識、情報)に起こる変化がお互いにかかわりつつパワー(権力)のありようを否応なく変えるという話。著者はこの観点を持ちながら世界中を歩き回ってたくさんのインタビューを重ねる。そういう多くの見聞と都度重ねる思考が本書の内容である。★著者があまりにも単純なことを自信たっぷりに述べ続けているので、正直のところ平成の初めに読んでいた時には著者の真意がなかなかわからなかった。しかし今読むと、当時のこまごまとした世相が懐かしい。今なら「よくわかる。」確かに著者の単純な視角が、平成30余年を貫いて有効だった。これほど有効な視角は、めったにあるものではないよ。★それ故に、平成の初めに(1990年代の初めに)「今後否応なく衰退する運命を免れない」中に数えられていた「米国の覇権」と我が国の場合「自民党の覇権」が、平成30余年が終わる今、確固として存在し「永続的強みすら予想される」のは、どういうことか、というのだ。★単純に言えることはある。このトフラー氏の単純な視角は、「滅びるもの」の中に数えられたパワー(米国の覇権、自民党の覇権)の担い手たちを大いに驚かせ、必死に「トフラー氏のいうようにならない」努力をしたというわけだ。なにしろ当時中国がなりふりかまわず必死にトフラーの本を読んでいたとトフラー氏は書いている。そして日本の場合、平成30余年間米国の覇権にぴったりしがみついていたので、その米国の覇権がこけていない限り、自民党のパワーも維持されたという次第だ。★さてこういう大きな目で、トランプ氏とその代表する米国の覇権を、いま考えてみたらいいではないか。この覇権、これからどうなるんだろうかね。(トランプ氏訪日のその日に。)これ、やはり永続パワーなのだろうか。どうだろう。いまトフラー氏に聞いても仕方がない。自分でかんがえてみることだ。「パワーシフト」という論法でね。