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2019-04-25 17:40:00
日本人の教養の基本とは、やはり日本語の知識と能力だろう。★この「日本語の知識と能力」を、どのような方面から充実してゆくのが「基本的」かは、意外と見解が分かれるかもしれない。★ここに紹介する話題は、「漢文訓読法」。★日本語表記の基本が、「漢字仮名交じり文」であることは、衆目の一致するところ。してみれば、日本語の標準的表記の基礎に「漢文訓読」が存在していることはいうまでもない。それゆえにわが国語科の中には、漢文と古文が久しく存在している。★このように「勇ましく」語ってきたが、ここで私の「恥」を打ち明けると、いまさら漢文を復習しようとしても、どうも長い間の不勉強で学習の「敷居」が恐ろしく高い。漢和辞典ですら、恐ろしく引きづらい。★それがこのほど目からうろこの落ちるような「手頃の」学習小冊子をみつけた。日栄社編集所『句形演習新・漢文の基本ノート』日栄社、平成28年。定価300円+税。私は例によって札幌市内のブックオフで、100円で買った。★63頁の薄い本だが、「ああ、これなら、私が再入門するのにも、敷居が高くない。」★第1章「送りがな」、その冒頭に、「日暮道遠」とある。おう、これこそが、私の今の心境そのもの。日暮レテ道遠シ。旧カナだから「ミチトホシ」と読む。(最近の漢文は現代カナで読む指導もしているようだが、旧カナで読むのも大事な教養だろう。)★以下少しく簡単にしよう。第2章「返り点」、第3章「読まない字・置き字」、第4章「書き下し文」(冒頭に述べた「漢字仮名交じり文とは、この書き下し文ということだ。)、第5章「文の基本の組み立て」、第6章「再読文字」、第7章「否定の形」、第8章「使役の形」、第9章「受身の形」、第10章「比較と選択の形」、第11章「抑揚の形」、第12章「疑問と反語の形」、第13章「感動の形」、第14章「仮定の形」、そして最後の第15章で「漢詩」の実例を示している。ああ、これは、日本語そのものではないか。★ここまで身を落とせば、誰でもスタートできる。そしてこの程度の基本があれば、あとは楽だ。同好諸氏はいないかね。英語教室があるように、漢文教室や古文教室もあっていいではないか。「旧カナ教室」というのもあってよいとおもう。現代かなを唯一の表記法と考えて安んじることなく、日本語の表現法を練りに練ってよいのだ。★むろん「万葉教室」という政府推奨のものもあっていいさ。★それにしても日本書記やなどは、「真名」の学習があって生きる文献だろう。軍記ものもそうさね。