インフォメーション

2018-12-15 01:02:00
ネット上で、「西川社長も報酬不確定を認識」(共同通信。12月14日)という記事を見ていて、あぜんとした。西川社長=明智光秀と見立てた「風」がうわっと吹くような、無慮513通もの書き込みが既に付いていた。なんと数日前までは、「西川がんばれ、検察ガンバレ、日産頑張れ」という「風」が吹いていたのではないか。なんと一斉に、あっちになびき、こっちになびくわけか。少しは定見というものをもとう。この「西川がんばれ」という国民的大合唱が起っていた時に、ごく少数の人間が、「常識」ではこれをいきなり黒とは見られないではないか、と苦言を呈した。たとえば、「法治国家では、逮捕された人間は、まだ悪人と決まったわけではない(裁判によって、罪を問うて行く)」のが「イロハ」であろう。そういういくつかの「常識」をもとに、事態を冷静に見つめてみようという態度を取った。新聞で例えると、朝日新聞は検察と一緒に空港に駐機しているゴーン氏の飛行機まで出向いた。読売新聞は、この件については地味な「常識」を掲げた(共同通信も、というべきか)。★わたし、はかりなくも、フランスの小話を思い出す。時はフランスのナポレオン時代。流されていたエルバ島(この島、イタリアのすぐそばにある)から脱出したナポレオンが、パリに戻って再び欧州に戦闘を挑んだ時のこと。このナポレオンの動静を報じたあるフランスの新聞が、「大罪人がエルバ島を脱出した」という記事から、数十日後に「皇帝陛下今朝パリに還御あそばされる」という記事にいたる「風になびく草のような記事」を書き連ねて、ジャーナリズムというものがいかに権力にもろいかという古典的実例を作ったことが、たいていの『社会学』とか『新聞論』の本に載っている。★例の「岩窟王」エドモンド・ダンテスの冤罪もこの時に誕生したんだったね。船乗りダンテスはエルバ島でナポレオンの書状を預かって、パリのある人物に渡した。ダンテスは手紙の内容を知らなかったが、手紙には、ナポレオンがパリに着いたらしてほしいことが書いてあったと。検事総長がこの手紙を調べて、ダンテスを謀反罪で逮捕することになった。実はこの手紙は検事総長の実の父親宛てになっていたので、検事総長は父親を救うためにダンテスを冤罪に仕立てた。(あなた方みんな中学生ぐらいの時にこの物語を読んでいるのじゃないの。この冤罪を晴らすためにダンテスが3人の敵を仕留めてゆく物語を。)検事総長がその3人の敵の一人で、「検事をやっつける」という意外なストーリーにあなた、夢中にならなかったかね。