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2018-11-25 17:59:00
カルロス・ゴーン+フィリップ・エリス『カルロス・ゴーン、経営を語る』日本経済新報社、2003年。本書の翻訳者高野優氏が、本書内容を次の4つに集約している。(巻末、訳者あとがき)1.ゴーンの生い立ち、2.「インタビューに答える」ゴーンの生の言葉、3.ミシュランの幹部など、ほかの経営者に対するゴーンのコメント、4.日産とルノーの提携。★1.「ゴーンの生い立ち」は、第1章から第7章までがそれにあたる。ゴーンの家族はベイルート出身。ブラジルに渡った。ゴーンはブラジルで生まれた。(もし彼に、大統領への野心ということを想像するなら、その国はきっとブラジルだろう。)長じてフランスに渡り、フランスで最高度の教育を受ける。ゴーンは間違いなく、フランスえり抜きのエリートだ。この「多国籍人」、フランス、ミシュラン(世界的タイヤメーカー)に1978年入社、ミシュラン社のヨーロッパ各社を転勤、その間に経営者たるべき資質を磨く。(ミシュラン社がそう仕向けている。)1984年、当時危機的状況にあったミシュラン・ブラジルの経営改革のために、最高執行責任者としてリオデジャネイロ(ブラジル)に赴任。改革を成功させて1989年、米国ミシュランに赴任する。1995年ミシュラン本社再編計画のなかの乗用車・小型トラック用タイヤという部門の再編責任者になったが、体は北米にとどまっていた。1996年、ヘッドハンターからフランスのルノー自動車の経営改革のため「ナンバー2」として入社しないかと誘われる。(ナンバー1は、ルイ・シュバイツァー会長)ルノー社再建中の1998年に日産の経営危機とルノーの日産との提携の話が起こり、ゴーンはルノー社から1999年に経営再建のために日産に派遣されるのである。かれはそれまでに、ブラジル・ミシュラン再建、北米ミシュラン再建、フランス・ルノー再建という経営改革をすでに3つも、成功裡に果たしていた。★この3つの改革自体、たいへんに興味深い。ミシュランが若い社員の中から選んで経営者を育ててゆく仕方が話の中から「透けて」見える。★わが日産なり、他のモノヅクリの有力メーカーなりが、自社若手の中から明日のゴーンたちを育てられるかね。(日本の他社から次代若手経営者をスカウトしてもよろしい。ゴーン氏もこの本のどこかでそう言っていた。)そして、日本の大学はフランスの大学ほど、エリートを育てる力はあるかね。もしそうというのなら、今後1文たりとも外国人助っ人に払わなくともいいよ。その場合、日本の未来は洋々たるものだ。