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2018-05-03 11:43:00
この記事は北海道新聞2018年5月2日号夕刊の3ページに載った。 「ソウル時事」と、出所を書いている。 「韓国の文在寅大統領は2日、在韓米軍について、朝鮮戦争の休戦体制を転換するための平和協定締結とは『何ら関係はない』と述べ、北朝鮮との間で平和協定が結ばれても、在韓米軍は必要だという立場を強調した。大統領府報道官が発表した。」という記事である。 どうしてこのような「立場表明が必要になったのか」について、次の2論点が、補足として述べられている。(これの出所も「ソウル時事」なのかどうかは、わからない。) 第1点 韓国大統領府の文正仁・統一外交安保特別補佐官が、雑誌に最近寄稿した論文のなかで「平和協定が締結されれば、在韓米軍の駐留を正当化するのは難しくなる」と述べている。今回の文大統領の「立場強調」は、この文正仁氏論文の述べるところを打ち消すためだ、というのだ。(ちなみにこの「雑誌」とは、私が『朝鮮日報』記事を読んで知ったところでは、米国の著名な外交専門雑誌『フオーレン・アフェアーズ』であるという。) 第2点 「在韓米軍は、中国と日本などの周辺大国の軍事的緊張と対立の中で、仲裁者として役割を果たしている」、「平和協定締結後も必要だと考える」と。「韓国大統領府高官の言」として記している。(これが文大統領が、在韓米軍を必要とする説明なのかどうかは、これではわからないなと私は思う。)  私はこの道新5月2日号夕刊の記事をみて、びっくりした。4月27日の南北首脳共同声明の中で述べられている「朝鮮半島核全廃」は、字句通りには、「北朝鮮だけの核全廃」ではなくて、「南朝鮮でも核全廃」と読める。南朝鮮自体が核を保有していなくとも、外国駐留軍が持ち込む懸念があるのでは「全廃」にはならない。南北朝鮮の融和・新朝鮮の成立時にはその新朝鮮には外国駐留軍はいないものと読むのが自然である。(もっともだいぶ先の話ではあるが。)私は道新の理解しずらいこの記事を読んで、どうにも奇異の念を禁じえなかった。 それで、ウエブの世界にならいろいろの情報があるかもしれないと、しばらく読み漁ったが、なにか書いている人が異常に少ない。(こういうときこそ、いろいろ書くところなのに。)そして『朝鮮日報』(ウエブには日本語訳された記事が大量に載っている)に出会った。この新聞は日本でいうと産経新聞のような立ち位置の新聞のようだ。しかし新聞である以上、現実そのものに触れないわけにはゆかない。大いに参考になる新聞である。 私の感想は、韓国にはいろいろな立場の議論があるらしいということだ。右の意見、左の意見と先鋭に分かれているようだが、肝心の文大統領とその与党自体が、韓国としては左寄りの勢力である。アジアではひとつのことが二つにとれる「アジア的あいまいさ」が言論の特徴で、日本だってこの点では人後に落ちない。よくわからないときには「アジア人の目線」で問題をみればよろしいと悟った。