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2017-12-29 20:18:00
私は、別に大歌手でも、大作家でもない。誰かと「共に生きる」といっても、そういう範囲は、知れたものかもしれない。しかしそれでも、それなりに広く人とともに生きた一期(いちご)というものは、いくつかないわけではない。★ここに、おそらく誰も知らず、誰も気が付かない私の一期の一つを、思い出してみたい。★当時私は北海道大学に学籍があって、倫理社会の臨時講師として小樽桜陽高校に週3日、札幌から汽車で通っていた。当時は快速はない。毎回普通列車だが、本を読むいとまができて通うのも苦痛ではなかった。読書に飽きると、札幌ー小樽間の車窓から見える日本海が、よい慰めになった。★その年度私が割り当てられた3年某組のクラスは、教室にいって驚いたことに、理科教室を使っていて、机はすべて6人ぐらいずつ組みになっている。どうしてこんな教室にこの3年某組が割り当てられたのかといえば、私におもいつく理由はただひとつ、このクラスが「就職組」で、大学への進学勉強とは無縁のクラスであることだろう。★すっかりクラスの気分がしらけきっていて、授業を聞こうという意気込みはまったく感じられないクラスだった。★私は、まったくの一存で、授業などしないことに決めた。「カントが何世紀の人か」とか、「デカルトの有名な言葉が何か」とか、そんなことをしていて何になろう。★私はちょうど彼らの座っている状態がグループ学習に向いていることに目を付けた。「どんな本でもいい、好きな本を一冊決めよ」「その本を読んでいる感想をこの時間にグループの人(5人いる)に話してくれ。そして他の人の感想も聞きなさい」と指示した。彼らは素直に私の指示通りに行動してくれて、毎時間毎時間熱心に話し合っていた。(もう一回、続きを書きます。)特に面白い話が出てきたら、クラス全体にも披露してくれとも言っておいた。