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2017-11-28 18:34:00
2017年11月27日の衆議院予算委員会。野党立憲民主党の長妻氏の質問に対する、安部総理の答弁は、憲法談義としていかにもたわけている。長妻氏は、たとえ今憲法改正がなくとも、現憲法のままで、自衛隊を合憲として受け入れる態度が現在の国民の中に広く存在すると思われるが、それなのに首相が、なにがなんでも憲法を改正して憲法第9条に、第3項として自衛隊の存在を書き加えると考えるのはなぜか、と聞いた。それに対する首相の答弁は、現在の日本の憲法学者中、自衛隊を合憲とみなす学者はたったの20パーセントしかいない。残り80パーセントの憲法学者は、自衛隊違憲、あるいは少なくとも「自衛隊合憲とはみない」学者である。であるから憲法を改正して第9条に自衛隊を書き加えておかないと、憲法学者の大多数が自衛隊合憲としない、と。★なんとまあ、現在の日本の憲法学者の80パーセントが自衛隊を合憲とはしていないということを十分承知したうえで、「だから憲法改正が必要」だというのだ。なんというロジックだろう。★長妻氏が「自衛隊の存在が認められている」というのも、「戦争の中には自衛戦争もあり、戦争は止めても自衛戦争の権利は残っている」という「解釈」から、「自衛戦争を行う軍隊」までは否定できないのではないか、という憲法談義としては「グレーの解釈」から出発しているのに過ぎない。こういう「グレーの解釈」を現政府の安保法制にまで「当然のように」押し広げるのには抵抗が出てくるのが当然である。★かつて自衛隊を違憲とする伊達裁判があり(砂川事件)、司法によるこの「違憲立法審査権」は、最高裁が「高度の政治的案件ゆえに審査しない」と却下した。(ただ、このときの最高裁長官がひそかに米国大使と会見して司法の見通しを漏らしていたことが、のちに米国の公文書公開で知られている。)この砂川事件の最高裁判決を、現在の安部内閣が「自衛隊合憲の司法判断」として好んで引き合いに出すというのも、いったいどういう感覚だろうと呆れる。もっとも自衛隊合憲の判決というのが、ことほど左様に希少なのであろう。