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2016-11-22 20:52:00
ここに今更ながら難しい問題が浮上している。極東ロシアの経済開発は日本だけが行う案件なのか、それとも中国や韓国や(その他の諸国も)行う案件なのかという点である。このまったくわかりきった論点が今頃「最大の問題」として浮上するところに不思議なところがある。★当然ながらロシアが了解しさえすれば、どの国の事業体がそういう経済開発を行ってもおかしくない。「日本だけがロシアの経済開発を行うものだ」と決めるものでもなかろう。開発にメリットがある企業なり事業体が行うだけのことだ。★それが今度の「8項目」云々などは、単なる経済開発ではなくて一種のОDAとして行おうとするものであろう。「それなのに」いろいろ内容が膨らんでくるのは、「ロシアが引き換えに日本に特殊な権益なり優先権なりを与える」見返りということで、この「見返り」の中に「領土問題」が含まれるという了解で行うという、「勧進帳的わかりにくさ」である。★ほんとうに日本の期待する「権益」は、「領土」だけか。そもそもその「領土」にそれほどの経済的価値があるものなのか。漁業を除けば北方領土は過疎地に過ぎないのではなかろうか。★「領土」以外の権益は全然考えていないというように、日本の政策は極端なものなのかもしれない。★戦後70年。事柄はわかりにくいうえに一層分かりにくくなってきたが、しかし極東ロシアを取り巻く日本、中国、韓国、朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)、ロシア共和国。それぞれの政治的、経済的、国勢は、(急いで米国も加えよう)70年前と現在ではまったく違っているはずだ。★このたいへんわかりにくい世の中を「秘密外交」と「交渉の結果のみを提示」する仕方で乗り切れるものなら、奇跡であろう。それにしてもいま私たちはその奇跡に賭けるしかなさそうだ。★ただ、私は、今の日本には、もう書店にロシア語の入門書も簡単な地図すら置いていない有様になっている・日本の民心は現時点でロシアというものに対する興味をすっかり失っている・とはっきり申し上げておく。(それともロシアの民心は熱烈に日本びいきなのかね。私は知りようがないが)この2か月ほど先に日ロ国交が劇的に回復するのではないかという政治的期待がいま日本で醸成されているが、もし2か月後に何もなかった場合には、日本人がロシアに興味を持つ日は何十年も先になるのではなかろうか。