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2016-10-07 23:20:00
大前研一氏、ロシア・ショック(2) 大前研一『ロシア・ショック』講談社、2008年 目次
★序章 激変する世界の潮流 ★第1部 変貌するロシア 第1章 プーチンの奇跡 1.どん底から急転したロシア経済 2.ロシア経済を変えたフラットタックス 3.プーチン人気の秘密 4.2020年まで続く「プーチンのロシア」★第2章 拡大する市場 1.ロシアの3つの資源 2.市場としてのロシア 第2部 ロシアン・ビジネス・チャンス 第3章 愛される日本、出遅れる日本 1.無条件に日本が好きなロシア人 2.ロシア進出最新事情 ★第4章 21世紀のIТ大国・ロシア 1.世界のハイテク企業はロシアを目指す 2.勃興するロシアのIТ企業 3.ロシア企業の巨大なパワー ★第3部 世界の潮流とロシア 第5章 内政・外交の光と影 1.悶える中国、突き抜けたロシア 2.ロシアの抱える外交課題 ★第6章 ロシアとEU 1.ロシアがEUに入る日 2.EUショック 終章 日ロ関係の未来図
★この本の全体は、北方領土問題などにこだわりすぎないで、日本は早くロシアと平和条約を結んで2国間の通常の国交を開き、発展性のある経済を抱えているこの国と、もっと積極的に交際すべきだというのである。今日の安倍首相の日ロ交渉態度と「矛盾していない」と私は判断している。いまの日ロ交渉は国民にはまるで「判じ物」を読むような分かりにくさであり、それというのも情報開示もねんごろな説明もなにも、まったくなされていないからである。もっかの日ロ交渉の目玉が日ロ大企業の提携に集中することの現実性も、大前著を一読すればすぐわかる。なに大前氏も、経済交渉はもっぱら日ロ大企業間の交渉としてしか描いていない。こういう交渉は当然にロシア全土をにらんでのもので、極東ロシアに限った議論ではありえない。日本側ももちろん日本全体を想定している。ただ、領土としては、また物理的関係としては、極東ロシアとわが北海道が隣り合っている、というだけのことである。★大前氏がこの本でEUとロシアの関係を論じている下りは、現在の国際政治関係をみればいまの大前氏ならこれとは違う語りようをするだろうという気がする。しかし、それはそれとして、面白く、念頭に置いてよい視角だと思う。★そもそも極東ロシアというのは、ロシア国内全体からみれば大変な僻地で、人口密度が徹底的に低い地域なのだ。★そして極東ロシアの人口密度は、ソ連時代と比べてすら低下している。旧ソ連邦は3億の人口があったが、今日のロシア共和国はその半分の人口しかない。そして過去十数年の激動のなかで、ロシア共和国の人口は減ってきている。国外に脱出した人口がかなりに上った。ただ、大前氏は、このロシアに、大きな将来性ありという評価を与えるのである。そう評価する理由はこの本に書いてある。