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2016-10-05 16:43:00
日ロ関係の21世紀(9) 北海道の日本海岸諸港は、20世紀後半、発達し切れなかった。留萌港・増毛港など、日本海側から特別の刺激がない限り、漁業の町、水産加工の町で、留萌以北には以前あった鉄道は取り払われ、羽幌町は(以前炭鉱があった)今では夏場に「夕日の美しい町」という掛け声で海水浴客を集める程度である。(もっとも北海道の日本海側の土地は、みな夕日が美しい)はては最近、増毛ー留萌線が廃止されようとしている。石狩湾新港も、そう繁盛しているのではない以上は、発展がそこから横の日本海岸には広がらない。いったい鉄道線を廃止すればやがて追いかけてくるのがその土地の人口減で、いずれその土地の行政的自立が怪しくなろう。そしてずっと南に来て岩内港。私はたまたま何十年か前の「岩内調査報告書」を読んだことがあるが、当時は執筆者は岩内港発展の構図を描きにくく、「岩内港の日本海側への発展」を希求しつつ報告書を結んでいた。当時は岩内から札幌へ働きに出て将来をはかったものだ。★さてそれから幾星霜。泊源発の出現は岩内町のありようをだいぶ変えた。そしてニセコ地区のパウダースノウを外国人が礼賛して大挙来日し、冬場は宿泊客で込み合うようになった。今『北海道新聞』2016年10月3日号28ページの「岩内職安求人倍率道内一」という記事によると、道内平均1.07倍に対して、岩内職安の倍率は2.0倍(ただし観光ニセコ地区の倍率が大きく寄与している)。ところで道内では留萌、紋別、浦河、根室の求人倍率が平均より5割がた高く、共通する理由は(岩内も含めて)、水産加工業の現地での人手不足である。★日ロ経済交流が加われば、日本海側の経済地理は、新しい要素を加えて発達するだろう。★本州の日本海岸だって経済地理が変わる。たとえば、青森県の日本海岸に「むつ鯵ヶ沢港」という(誰も聞いたことがない)立派な港があるが、これの発展する日がみられよう。あるいは、鳥取県米子市に「境港」という昔から聞こえた有名な港があるが、実際にはここに来る便船すらほとんどなく、米子市の政治経済的衰退はこの半世紀に極まって、ついに最近議員割り当て数を半減されるに至った。ここへやってくる人は、ともかく神戸までやってきて、そこから汽車で来るしかないというありさま。戦時中はここで全国から集まった満蒙開拓団員の結成式までやったのに。★経済地理を大急ぎで学びなおされるがよい。