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2016-10-04 09:56:00
日ロ関係の21世紀(4) それに、「ウクライナ問題」というが、大所高所から見ると、ウクライナ問題というのは、ロシア人の国民感情をすっかり逆なでしている。★そもそもロシア共和国には、もしすっかりウクライナを失えば、ヨーロッパ側には主要な海がなくなることになる。セバストホーリとクリミヤ半島、オデッサ。これはロシアの黒海への出口である。さらに「バクー油田」からヨーロッパ方面への原油の輸送路である。第2次大戦時、ヒットラードイツ軍の名のもとに、西欧のあらゆる民族の部隊が編成された「全欧軍」がこの辺の地域でソ連軍と血に血を洗う激戦を行った。そのとき「ウクライナ」はややもすればドイツ側としてふるまった。このような「血の思い出」は国民感情からなくなってはいない。★黒海を失えば、ロシアのヨーロッパ側の窓は、北海とペトログラード(ペテルスブルク)だけになってしまう。★ヨーロッパ側の出口がすっかり逼塞しているので、ロシアの発展を思うと、ロシアはアジア側に新境地を見出すしかない。これがプーチン大統領の呼号する「ロシアの東方の新都をシベリアに作る」構想となる。現在のシベリアはかつて以上に人口密度が薄くなっている。「シベリア開発」の理念とは裏腹に、自前の大型事業はそう進捗しているわけではない。欧米が協力してくれたのは、すぐにカネになりそうなエネルギー事業だけだった。★大所高所からロシアが日本に期待するところは大きい。しかしそれをどのようなルール、どのような枠組みで行えば、日本が決心して乗れるようなものとなるのかどうかだ。「日本企業のロシア企業への参与」はその答えだが、その詰めは容易に解が見いだせないかもしれない。そこで別件の領土問題で、「補助線」を引くことになるのではないか。