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2016-09-09 14:02:00
小西甚一『古文の読解』第1章「むかしのくらし」・「車さだめ」。平安時代に貴族が外出時に乗った乗り物の話で、当時は「牛車」を使った。牛に二輪の車を引かせ、それに乗るのである。今日なら乗用車に乗るところであろう。なにせ動力が牛だから、ずいぶんのろかったろう。ただ、当時の道路がそう良かったとは思えないから、牛にゆっくり引いてもらって、ようやく乗り心地が保てたものかもしれない。★ 例文 枕草紙より2編。「日さしあがりてぞおはします。御車ごめに十五。四つは尼の車。一の御車は唐車なり。それにつきてぞ尼の車、次に女房の十。(第262段)」、「檳榔毛は、のどかにやりたる。急ぎたるは、わろく見ゆ。網代は、走らせたる。人の門の前などよりわたりたるを、ふとみやるほどもなく過ぎて、供の人ばかり走るを、誰ならむと思ふこそをかしけれ。ゆるゆると久しくゆくは、いとわろし。(第30段)」★「御車ごめ」とは、いわば寝殿造り建築の外部に付属する「駐車場」ですね。この文では15台停まっているから、それなりに広い駐車場でしょうね。後の例文で「檳榔毛」(びろうげ)と「網代」(あじろ)と二種類の「牛車」(ぎっしゃ)を挙げて比較しているところを見ると、きっとこの二種類が代表なのでしょう。前者は高級車で、身分の高い人が乗り、ゆっくり動かすのが節度。後者はそれよりは身分の低い人が乗る車で、こちらはさっさと走らせるほうが「ナウい」。実物は絵か何かでみたほうがいいですよ。★ 私は千年一日のごとく、トヨタのスプリンターセダンに乗っていて、別の車に乗ろうと思ったことはありません。