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2016-09-06 21:58:00
『徒然草』155段 「世にしたがはん人は、まず機嫌を知るべし。」(世間の動き通りに動こうと思う人なら、まずはタイミングを知る必要があるだろう。) 要約「死期はついでを待たず」(死期はタイミングなどなしににわかに来る。) この段では、時期(タイミング)を意味する言葉が並ぶ。「機嫌」「ついで」すなわち「タイミング」。これは俗世には大事なことだろうが、死を待つ者には無関係な言葉だ。なおこの「新潮日本古典集成『徒然草』」の場合、冒頭に「要約」を一句で示している。毎回それも借用させていただく。その段の特徴が一見してわかるからである。★「生・老・病・死」のいわゆる四苦の「移り来る事、甚だはやし。」かつては「人生わずか50年」と言っていた。しかし今日、日本人男女の平均年齢が伸びて、男は82歳、女は86歳と伝えられている。(私の知っている循環器医は、循環器方面の医療の発達が人生を30年は伸ばしたのではないか、という。)同じ生きるのなら、せめてベッドの上で呻吟する期間が短くありたいものだ。★ 平均寿命が伸びるにしたがって、不思議な病気ばかり増えているような気がする。そこへ行くと昔は単純だった。大抵の者は労働していて、働けなくなると、ほんの数か月後に急に病気になり、医者を呼んだ時にはもう死んでいる。病名はなにやら得体のしれない「簡単な病名」だったようだ。そもそも死んだ人は、一生ほとんど病院などにかかったことのない人だった、という調子で。どっちが幸せだろうね。昔の人は養老院など入らないで、みな自宅で家族に看取られて死んでいった。(もっとも非常に長く自宅のベッドで生きていたという人の例が、全くないわけではない。でも、概して60歳ぐらいで、皆死んでいったね。)