インフォメーション

2016-09-05 15:40:00
『徒然草』108段 「寸陰惜しむ人なし。」(わずかばかりの時間を惜しむような人はいない) この段は、「寸陰」わずかばかりの時間をどう考えるかという話で、非常にわかりやすい主題だ。★ 「寸陰」といえばすぐ思い出す言葉は、「一寸の光陰軽んずべからず」(ちょっとの時間でも無駄にするな)であろう。兼好は、寸陰を何のために惜しむのかによって意義が違うといっている。寸陰を仏道のために惜しんでいるのなら意味があるが、俗事のためであれば寸陰を惜しむも何も、無意味だというのであろう。★ 「一寸(いっすん)の光陰軽んずべからず」は、受験生に戒めの言葉として課されることが多い。かくして、電車の中で英単語を覚えようとしたりするわけだ。私は、現代、その程度の心がけがあったほうがいいとおもいますよ。★ ただ、兼好さんには申し訳ないが、道心とてさらさらない私は、多少違う解釈をする。★ 第一段で、「一銭軽しといへども、これを重ぬれば、貧しき人をも富める人となす」という文句は、うちの叔父が愛好する標語であった。叔父はこう言っていた。「一銭を笑う者は一銭に泣く。」俗な話だが、スーパーのレジで、たった1円足りないばかりに千円札を出して、ジャラジャラとお釣りをもらう不愉快さを経験した人はざらにいるだろう。(この第一段は「ちりもつもればやまとなる」というような話だね。) ★ ただ第二段の、明日必ず死ぬと決まったら、何をしても無駄だから、なにもしないだろう、というのは、どうだろう。そうと決まっても、単語を暗記していたりして、何が悪いものかね。気晴らしにもなるだろうが。