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2016-09-02 16:21:00
解説者の木藤才蔵さんは、『徒然草』の課題は、「無常」であろうと。しかしドナルド・キーンさんは、「暗示/不均整/簡素/無常」の4つが『徒然草』の課題であろうと。これは判断の基準が初めから違うのである。木藤さんは「人生どう生きる」を基準にする。ところがキーンさんは、「日本人の美意識」を思うとこれが「暗示/不均整/簡素/無常」の4つの要素から成り立っていると判断され、日本の古典『徒然草』の中にはこの4つの要素が見事に揃っているというのだ。★私は今はキーンさんを遠慮なく切り捨てて、木藤さんを優先する。★ 木藤さんによると、『徒然草』の中で「無常」という課題が特にめだつ段は次のとおりであると。すなわち、「『徒然草』の中で、人生の無常を説き、また、仏道修行に専念すべきことを説いている段は、49、58、59、74、75、108、112、137、155、166、174、188、189、241、242の諸段である。」(266頁)この中で木藤さんが「解説」冒頭で盛んに利用したのは、58,59,108,112,155段だ。ではこの第58段から読んでみよう。(さあみなさん、どんな版本の『徒然草』を持っていても、段さえ指定すれば、すぐご一緒に読めますよ。暇な人はご一緒にどうぞ。)★ 美意識だって。「色即是空」という言葉をご存知であろう。日本人は美を重んじる心はあっても、「美意識」を前面に立てることには(たとえかりそめでも)どうも気乗りがしないのだ。★ なお、中高校生諸君に言う。『徒然草』は国民的古典で、古文の重要教材だから、参考に私の文を読んで勉強にしよう、などとは思わないほうが良い。諸君の立派な教育環境からいうと、わたしの文は、諸君にためになることばかり書いているわけではないからだ。だから、読むな。仮に読んでも、一切話題にするな。