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2016-06-26 20:48:00
前回「ウォールストリート・ジャーナル紙6月25日付ブログ版」より、として書いたことの続きである。 「英国は再びEUの市場に加われ」と勧めているのだが、今英国は国民投票で離脱と決めたばかりだが。 言わんとしていることは、EUが頑固さをすこし改めて、もうすこし緩やかな条件の市場に立ち返ったら、英国は再びその欧州市場にもどったらよかろう、という勧めである。英国に否やがあろうとは思えない。 ではEUが、その頑固さを和らげることがありうるのか。昨日フランス外相の演説の中で、「ローマ条約の精神に立ち返り」と述べていた。ローマ条約というのはEUの前身であるEEC(ヨーロッパ共同市場)にかかわる条約で、その内容は加盟国域内関税引き下げと加盟国経済政策の協調しか内容としていない。今日からみれば政治的縛りが非常に少ない市場協定である。「ローマ条約の精神に戻れ」というセリフの陰に、EU上層部には「共同市場への復帰」という発想もありうることを示唆していると読むのは、深読みか。むろん戻るにしても、すっかりEECに戻るには及ぶまい。近年EU加盟国の内部でEU離反の声が多いケースは、EU加盟条件としての財政規律の件である。EUは理想的統合をあまりにも急ぎすぎた。このへんで少し再考しないと、とても収まりがつくまいとは思う。 なお、6月26日付「日本経済新聞」ブログ版によれば、EUは英国との間で包括的な経済・貿易協定を結ぶ用意がある由。 しかし、私は思う。現在のEUがまだ米国とも、中国とも、貿易協定を結んでいないのであれば、EU離脱を表明しようとしている英国は、EUとの新「経済・貿易協定」の談合に入るのと並行して、米国とも、そして中国とも、「経済・貿易協定」を談合するめぐりあわせになりはしないか。その場合の米国との談合は、あるいは英国のNAFTA加入協議になるやもしれないね(NAFTA加盟はあくまで可能性の問題だが)。 それに、英国が「英連邦」諸国を引きずっていることを考えれば、事態は思う以上に大型であろう。