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2016-06-24 14:44:00
2016年6月23日に行われた英国のEU離脱国民投票が、離脱側52パーセント、残留側48パーセントという投票比率で、離脱派の勝と判断できると、24日午後2時、英国のBBC放送が発表し、日本の政財界と国民がほとんど予想もしていなかった英国のEU離脱が、正夢になった。なにしろ投票直前まで、ネット上のヤフーの「人気投票」では、日本国民は残留派4にたいして離脱派がその4分の1以下の「見込み」しか与えられていなかったのであった。 むろん英国のEU脱退手順は、英国首相が脱退をEUに通告してから2年間の折衝期間を定めているので、正式脱退は2年以上先になる。 BBC放送で、「こうなったうえは、迅速に事態に対処しなければならない」と、誰かが言っていたが、これまで事態に対して極楽とんぼだった日本は、どう「迅速に対処」するのか。 大きく構えて言うなら、1980年代以来の世界の政治・経済の基調がここに大きく変化した。すくなくともその重要な第一歩であろう。英国とイングランド銀行は世界の通貨と金融の大きな極であったが、それはこれからどう変わるのか。英国を欠くEUはこれから分解に向かうのか。従来のEUの勢力を背景としたEU外交は、これまで通りの切れ味を発揮できるのか。ロシアのウクライナ政策を糾弾していた勢いは下火になって、ロシアにパワー外交を許容するのか。かんじんの移民・難民政策の見通しはどうなるのか。 今回の英国の国民投票の結果を受けて、英国をめぐるさまざまの再編劇が進むことになろうが、英国そのもののもつ存在感から言っても、それはたいへんに国際的・世界的性質を持つことになろう。早い話、1980年代以来の英国の投資自由化措置によって、英国に「ウインブルドン現象」が起こり、多くの外国企業が「英国産業」となった。日本だけでも1000社は英国に進出している。それらの外国会社はEUへの輸出を目指してそこに立地しているのだから、英国がEUから脱退するのなら「EUに移転」するしかなくなるだろう。「大移転」だねえ。外国企業はこの「正夢」にどう対処するのか。むろん現実は曲がりくねるだろうよ。今回の国民投票でも、スコットランドと北アイルランドは残留派が強かった。最近にスコットランドが「EU加盟希望」と抱き合わせにして「英国からの独立」をスローガンに国民投票を求めてくる公算は非常に高い。そしたらグラスゴーをロンドン港に、エジンバラをカセードラル兼新金融首都にでも企画するんですかね。まースコットランド銀行というのもあるんですが。EU自体もロンドンに代わる金融センターを用意するだろうし。「再編劇」といっても単純なものではないんですよ。 グローバル資本主義を今まで問答無用に天からの声のように扱ってきた日本の世相は、今後、地方に住む国民の生活や権利をどう良くするのかという本来の国民経済的課題を第一に取り扱うようになるでしょうという意味で、今回の英国の国民投票はその第一歩だろうとおもうのである。 さて、日本の場合、安倍内閣は「円安、株高」を、日銀に「欧米と同様」の超低金利政策を行わせた結果として、国民の前に示した。今現在、この「円安、株高」という「結果」は、消滅したようなものだ。(ただ、日銀の新金融政策のほうは、出口も定かでない状態で、継続している。)むろん今回の英国の問題で、日本の為替と株価が「底なし」に崩れることはなかろうから、安心してよい。株価は国民投票前の1万6000円から、せいぜい3分の1も下げれば当面の底だろうし、為替も別に日本政府が介入しなくとも国民投票前の1ドルが106円から、せいぜい1ドルが90円ぐらいまで行けば当面の底だろう。(1時間かそこら後で英国の金融市場が開く。世界の市場がぞくぞくと続く。ひょっとして開かないかもしれないが。なにしろ国民投票中にポンド紙幣をユーロやドルに両替する英国市民が行列していたというから、ポンドの相当の暴落は今となっては免れない。海外旅行の途中でこういう目に合うと、キャッシュできなくなってしまう。) ただ、問題は、もっと大きなところにあるのではないか。