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2016-06-18 20:50:00
2016年6月23日に、英国で、EU離脱か否かという国民投票が行われる予定である由。
もし離脱ということになれば、近年にない欧州政治上の危機となるだろうと、いろいろのブログに書かれている。
私がここに強調する論点は、この英国政治を両断する事態の背景に、英国の首都ロンドン〈とくにシテイ〉が代表する金融利益と、英国の地方の国民的経済との間に、大きな断層があり、この断層の深さが最近ますます広がってきたという事情である。
このような首都に代表される極度に「金融的」な経済と、地方の経済生活の断層という「対立」は、多少程度の差はあっても広く欧米日に共通に存在していて、この構図が「1パーセントの人口が世界の資産の半分を握る」という極端な貧富の差を世界中に生んでいることである。
この対立が極度に鋭敏に、政治的に、英国において現れていて、それが表面の現象では英国がEUにとどまるか否かという争点になっているようだ。
英国のEU離脱派が当面唱えているのは、難民受け入れの拒絶であり、英国がEUの一国であれば規定上拒絶できない難民受け入れを断るためにEUから離脱せよという申し立てになっている。〈この一点にいまのところ政治的イシューが集中しているので、あるいは国民投票直前に英国首相が急きょEU首脳と会談して、英国の難民受け入れを「しばらく」事実上凍結するという取引をし、それと引き換えに国民投票を延期するのではないか、とも観測されている。〉
しかし英国の首都と地方の対立の根は深く、たとえそのような一時逃れをしても、問題は解決しそうもなかろう。
これはとってつけたような危機ではなく、本来的危機なのだ。
むろんもしまともに離脱可否の投票が行われて離脱となれば、めったにない危機が現れるだろう。
しかしいま英国の首都に見られるような過度に金融化された経済のありように、まじめな反省を加えようとしないのでは、そのほうがよほどの危機であろう。