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2016-06-15 22:18:00
北川智子さんの『世界基準で夢をかなえる私の勉強法』幻冬舎、2013年という本を手に入れた。 ハーバード大学で教鞭をとり、その経験を材料にして『ハーバード白熱日本史教室』新潮新書を出版している人である。 なぜここに紹介する気になったのかというと、私にはこの人の言っていることがまったく道理にかなっているように思われたからだ。 そもそも私はこの本を、あるブックオフで、たった99円で手に入れた。「並みの能力」と自分で言っている若い日本の女性が、カナダ、米国と学習の階段を「素直に」駆け上っていって、ついにハーバード大学で日本史の講義をしたり、ケンブリッジ大学で数学史の研究をしたりするようになったという「プロセス」をこの本は淡々と描いているのだが、私がこの本を買うまでの間に、この本はおそらく多くの「野心的」で「誇り高い」日本人の若い女性たちの目に留まったであろうに、誰もこの本を買おうとしなかった〈ということに結果としてなる〉ことが、私には不思議だった。 私も過去にいささか苦労した人間なので、この本に書いてあることの真偽を見分ける能力をもっている。 私が思うには、この女性が成功の道を歩むことになった土台は、この人が「環境」に対して世にも素直であったことではないか。〈多くの人間は、この素直さというものを持てないために、結局うまくゆかないのだ。〉この人は学習の出発点ではお定まりの「カナダでの短期ホームスティ」だった。ここで彼女はホームスティしている一家のベビーシッター兼皿洗いのような立場に〈自然に〉なり、黙々とその役を果たすのであった。この家の3歳の男の子スティーブンに密着して子守をしながら、彼女はこの3歳の子供と同じ言語環境の中で生きようとするのである。私の考えでは、およそあらゆる英語学習の中でこれほどすさまじく、かつ効果的な、「本当の英語」の体験方法はないと思う。彼女はやがてこの家から語学学校に通学することになるのだが、「3歳の子供と一緒に生きた言語感覚」が彼女を支えているので、外見は同じように語学学校に在学していても、学習内容はまったく抜本的に違うものになるだろう。 この「学習第一歩」の素晴らしさが、あとは自然に彼女のカナダでの学習の階段を押し上げてゆく。カナダの大学。米国の大学。素直にのぼってゆけば彼女のように道が展開してゆくのは少しも不思議ではない。むこうさんの大学の教育課程は、素直にかつ熱心に学ぶ者をするすると押し上げるような合理性を持っている。 残念ながら日本の社会の学校制度は、このような「合理性」を持っていない。かろうじて個人的に優秀な指導者に巡り合った者だけが、例外的に「合理的に」自分の能力を発展させるようだ。あちらさんの大学の場合、もちろん多くの優秀な指導者がその大学にいるが、そのような人との出会いは向こうではある種システマテックで、制度的な仕組みの中でうまく行われる。「個人が個人を探す」無理はない。この彼女だって、必要な人とはそのようにして自然に出会っている。 なんということもない者が、素直でまじめであれば、するすると階段を上ってゆくのが、日本の読者にはきっと手品のように見えるかもしれない。ぜんぜんそんなことはありませんよ。彼女が淡々と描いているとおりです。 さてせめてこれを読んでいる人に、今の日本の環境で、「ベビーシッターまがいのことをして3歳の子供の言語環境に学んだ」というところを、なにかずっとわかりやすい、かつ取りつきやすい方法で学習できないか、と思う人はいませんか。 ひとつ、おすすめしよう。いまインターネットの上で、アメリカの大学の通信教育を受けられるようになっていますね。もっともいきなり聞いたってわかりゃしない。先生は相当に早く話しているし、話が分かるには先生が指定している本ぐらい読んでおかなければならないが、そういう本はかなり高価で、それを限られた時間に読むのは苦難の業だろう。受講するとなれば先生にレポートを書いたりするのだが、まともな英文を数枚書くなどとても大変な話と思うでしょう。〈つまり急に取りついても無理だということです。〉しかしなにも大学レベルの授業でなくていいでしょ。どうですか、小学校、中学校、高等学校程度では。そんなものすでに自分は卒業しているから「改めて入る必要はない」と思うか。私がいうのは、「英語の学習で」やりなさいというのだ。そんな手頃の、費用もかからないものがあるのかというと、これがあるのです。kAHN'S ACADEMYというのがあるのです。インド系アメリカ人の青年が無料でこの動画を見せてくれます。これを小学校1年生レベルのものから聞いたらいいでしょう。このインド系の青年の発音はちょっと癖があるが、立派な英語には違いない。その動画で言っている内容をあなたがはっきりつかむまで、その動画を熱心に何度でも聞くがよい。 限りなく素直に、ね。 このカーンの学校で、中学レベル、高校レベルと上がってきたころには、あなたの英語力は、とうていネイテイブの日本人とは思えないほどのものになっているのはうけあいです。そうすりゃ、あとはなんでも手づかみできる。