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前回、私は「夢の日ロ友好案」を書いたが、どうしてこういう具合に考えたのかの説明だけしておきたい。
1. まず「千島列島を日ロ共同主権地とする」という提案だ。千島列島というのは、北方4島は我が国固有の領土(いわゆる南千島)とし、その北にあってカムチャツカにいたる島々である。この「千島列島」をわが国は、1875年に、日ロ混住中であったサハリンを放棄し、その代わりに今言った千島列島を日本領とする「千島樺太交換条約」をロシアと結んだ。これは平和裏に結ばれた国際条約だったのだから、いま北方4島とそれより以北の千島列島を合わせて、日ロ共同主権とすることには、それなりの歴史的曰くがある。しかしこの地域の共同主権は、アメリカ、カナダ、その他太平洋諸国へのきがねがあるから、非武装地帯とすることをかんがえるのである。
2. シベリア開発長期計画は、ロシアの生命線である。ロシアはウクライナ、ポーランド、バルト3国方面が逼塞していて、西方がすっかり行き詰まり、オデッサ・セバストポーリすら怪しい。プーチン自身、ロシアが太平洋側に第2の首都を構え、太平洋側で発展するしかないと考えている。しかしシベリアのロシア人口はかえって往時より減っている始末である。資本、技術、人口、どれをとってもロシア一国ではとうてい比較的に短い年月でシベリアを開発することは不可能である。さりとてロシアは、まったく中国に依存することも警戒している。相当の譲歩をして日本の援助を引き出すのは、ロシアの明瞭な狙いであろう。資本、技術を日本に依存し、開発人口をはるかに環太平洋諸国に期待すればよい。そうすればいずれウラジボストーク方面の開発を中国・韓国に依存するさいに、ロシアは過度に中国に依存しないで済む。
シベリア鉄道線について、また、北海道‐サハリン‐シベリア線について、の日本への協力依頼は、すでに過去に話題に上ったことがある。昔稚内からサハリンに連絡船による鉄道連絡を行なっていたのだ。北海道-サハリン-シベリア線は、さしあたり海底トンネルがなくても可能である。それにしても、新幹線を早く稚内へ伸ばしてもらわなくっちゃ。東京発モスクワ行きが可能になる。世界一長い鉄道路線だな。むろん鹿児島発ぺテルスブルク行きでもかまわない。
しかし千島列島共同主権というのは、北極圏航路を通って欧州からの最短距離で便船がアジアにやってくる入り口が千島列島だということを念頭に置いている。だからカムチャッカ-ハバロフスク線も新たにかんがえるわけだ。(大昔、米国のハリマン氏が、カムチャツカから東三省へ向う鉄道を構想したことがある。今でもアラスカ-カムチャッカ間で気球の実験など行なったりしている。この辺のラインは米国、カナダの国益と交錯する。)
3. ロシアがハバロフスク、ウラジボストーク、のどちらを新首都と構想するかは、ロシア次第だろう。とにかくロシア自身がそういうことを考えている。
4. 札幌第2首都案は、不思議でもなんでもない、昔からあった案である。その場合、札幌市円山の北海道神宮を全域皇居として天皇の遷座を請い、合わせて東京の宮城を撤廃すれば、ゆうに世田谷区以上の広さの宮城跡地が、東京都の新都市計画の中で生きることになろう。宮城のために東京都がどれほど苦労しているか計り知れない。そしてもともと広大な皇室御料地が北海道には存在していた・現在内閣が所管しうる立場にあるはずだ。
こういう「日ロ友好元年」はどうですか。もともと北海道庁にはロシア共和国との間で永年にわたる外交と経済協力の歴史があった。この日ロ友好元年と同時に、北海道庁は地方自治体ながらロシア問題では政府に次ぐ政治的行政的主体となろう。それだけのノウハウと人脈を北海道庁が持っているのである。ロシア共和国との間に。
まあ、夢ですよ、夢。こういう夢が実れば、札幌の石狩湾新港は、小樽港ともどもたいへん有力な港になるし、留萌港、増毛港も息を吹返し、いま廃線になろうとしている増毛-留萌が生き返るだろう。