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最近コクヨの「キャンパス・ジュニア」という小学生向けのシャープペンシル・ブランドが、0.7、0.9、1.3芯で、「芯が折れにくい」という触れ込みで、150円‐‐‐800円程度の価格帯で、売り出されるというニュースを直接のきっかけとして、シャープペンシル関係のブログ記事がうわっと増えた。
シャープペンシルが進化していて、既に、三菱が、「使用中に芯の一定の太さを保つ」という「売り」の、「クルト」を売っている。また、ゼブラが、「細い芯でも折れない」という「売り」で、「デルガード」というブランドを売っている。ペンテルも、「細くとも折れにくい」という「売り」で、「オレンズ」というブランドを売っている。北星鉛筆も「大人の鉛筆」というブランド名で売っているということだ。
これらの「新しい」シャープペンシルの「売り」は、太い芯が使えること、芯が折れないこと(細い芯でも折れないこと)の二つの機能進化を中心に、各社様々な工夫をこらし、売上も応分に伸びているようだ。
私はここでシャープペンシルの宣伝をしようとしているわけではない。この社会的・文化的現象の性格を取り上げようとしているのは、読んでいる人々にはとうにお分かりであろう。(製品自体にご興味があれば、片っ端からブログを探してお読みになればよい。馬に食わせるほどたくさんの情報が現れる。)
これも100円ショップで買えないのだろうかとお考えの人は、時代が分からないのだ。100円ショップの商品の多くは、中国を中心として東南アジアから仕込んでいる。それらの商品は堺屋太一のいう「近代工業社会」の大量製品で、一見似たような見せ掛けだが(鉛筆だって1ダース100円で売っているし、シャープペンシルだって芯をつけて100円で売っている)、ただその使い勝手は日本の文房具店が売っている鉛筆やシャープペンシルとくらべれば、雲泥の差がある。つまり100円ショップで売られている輸入文房具と比べれば、日本の文房具店で売っている鉛筆とシャープペンシルは、堺屋のいう「知価社会」の製品なのである。それは、100円ショップに比べれば数倍の値段だが、日本製品の使い勝手は(つまり効用は)、月とすっぽんの差がある。
じつは欧米社会であると、「ヴインテージペンシル」と称する高級なシャープペンシルがある。モンブラン、ペリカン、ヤードレッド、カランダッシュ、アウロラ等々の有名ブランドがある。さてその値段であるが、とても小学生に自由にどんどん使わせるなどという値段ではない。値段が一桁か二桁違うだろう。日本のこれだけのシャープペンシルを300円とか500円とかで売るんだと言うのと、とても比較になるものではない。
私は鉛筆の愛好者で、Bを好んで使っている。近くのホーマックでは、三菱鉛筆とトンポ鉛筆を、1ダース300円‐400円程度で売ってる(つまり一本30円程度につく)。私自身はこれで満足している。電動シャープナーが1台あり、これで毎日何本か削っている。問題はこの電動シャープナーが、最近は使う人が少なくなったとみえて電気店でも種類が少なく、値段がだんだん上がってゆくことだ。もしシャープナーが電気店から姿を消す日が来れば、私は鉛筆をとても使い続けられないだろう。早晩私はシャープにのりかえることになろう。
三菱鉛筆とトンボ鉛筆、どちらも立派な品質で、そして「リーゾナブル」な価格である。欧米社会に持ち込んで使っても、ぜんぜんひけを取らない・いや、抜群にいい品質で通る。欧米の人々はこんな立派な品質の鉛筆をふだん使ってはいない。私が過年度米国にいたときには、私は三菱の「ユニ」ブランドの鉛筆を大量に持参していた。この鉛筆を現地の人々に上げたり、使わせたりすると、あまり感情をあらわにしない人々なのだが、自分達がふだん使っている鉛筆との「効用の落差」に密かに唖然とする。(しかしその後が悪いな。ブランド名をみ、ああ、ゼロファイターを作ったメーカーだとのたまう。へんなところで太平洋戦争がたたる。)
日本人はもっと豊かな、広々とした見聞と思索に心がけたたらいいと思うよ。
ただ、問題は、店頭で、果たしてこちらの要望しているモノがうまく、日常的に供給されるかどうかということだね。妥当な価格で。
私は、小学生向け0.9のシャープペンシルを使わせてもらいたいよ。なにしろ小学生向けなら日常の入手がラクだろうから。価格も200円以内だろうし。