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2016年3月9日、水曜日、午前11時、札幌の天候。朝方すっかり空が晴れ上がっていたが、だんだん曇ってきた。暖かく、風のない日。道路はいまはすっかり黒々としている。雪の山は道路の端で、減少中。しかし、今晩から明日にかけて吹雪が懸念されるという天気予報が出ている。
マイナスの金利の天気予報。
今日玄関にいつも取引のある人物が来て、電力自由化によりその会社と契約しないかと言う。従来はなにかのフエアのときなどに公開で募集していた。当家は「今はしない」と断った。例の日本ロジステックという会社の「撤退」が報じられたばかりである。日本ロジステックの場合、ここに電力を供給する契約をした地方自治体がいくつか、「使用電力代金」をもらっていなかったという。(そしてこういう場合、消費者は、旧来の電力会社と再契約することになるが、再契約の過程で消費者はかなりの損をするであろう。)
以前合衆国で、発電と配電の分離をしたときに、ある種の事情で大停電が起こったことがある。今回の日本の電力自由化では、合衆国のような事態が起こらないようなある程度の歯止めはかけているだろう。しかしあらゆる歯止めが掛けられるものとは思えない。大掛かりな画策の余地が隠れているかもしれない。
いずれにせよ、目先で「高くなるか、安くなるか」程度の判断で、永年慣れたありようを捨てるのは早計と踏んだ。
こうやってセールスに来た人は、その人自体は出世頭で、なかなかのやり手である。しかしこういう契約をするさいのリスクについては一言も語らないし、合衆国の歴史的事情など、なにも念頭にない。(当方も別に聞きもしない。)リスクはすべて消費者が負うと言う次第だ。ただ、今回辞退したい、と言っているだけだ。
法人企業という話題に戻ろう。
奥村 宏さんの法人資本主義は、優れて身近の、実証的な議論だが、経済学とのつながりはなく、国際的視野も、時代を超えての視野も、ない。
楠井敏郎さんの法人資本主義は、国際的視野と時代を超える視野がある。また、経済史を介して経済学と繋がる。
奥村さんに次ぐ「(法人企業をみる)第2の目」としていいだろう。
このような法人資本主義が、「専門的会社経営者」という人々に支えられて発展した。このような「経営者達」を育てる高等教育(端的にはビジネススクール)が20世紀の合衆国で育ち、その学科目が、経営学や会計学である。その様子は、楠井著でよく伺える。
わが日本でも、戦後1960年代ぐらいに、経営学が世に知られ始め、高等教育に、全国的に経営学部の設立が提案され始めた。日本にとってそう古い話ではない。(我が国の法人企業を考えるとき、配慮してよい話題である。)