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2026-10-21 14:58:00

待望の『中央公論』2026年11月号が到着した。「国語こそ最強の教養」を特集としている。この「最強」という点であるが、私は「AIに対抗する人類の教養」として「最強」という意味かと思っていた。まあ、それでも、まったく違うというわけではないが、むしろ、理系の記号論理の発展の最先端にAIがあらわれているということを考えれば、文系の教養である国語の中に、人類最強の教養を見ようということになるかもしれない。ただ、世界観的・人類史的観点から言うと、「国語」と言ってしまうところに「保留」を付けたい。

人類史は、言語の使用については、まず「無文字的言語使用の時代」が長々と続き、それから「文字を使用する言語使用の時代」に入った。世界史でいわゆる「四大文明」の頃・「農耕の始まりと、定住の始まり」・「文字社会の始まり・文字による物語の歴史が始まる」・「国家の成立」がある。そしてこの四大文明の「農耕・定住」というのは、「文字社会・物語作り社会の始まり・国家の成立」に強く律されてでないと、ありえなかったと、考えられるのだ。このような知見はすでに多くの専門家に知られているが、こういう把握が文明史把握のノウハウにまだ十分には生かされていないようである。(このような歴史的識見は、世界人類の先史時代の先住民族研究に、もっと生かされていてよいのだ。)/

私が言いたいのは、「国語」を話題にすれば、その話題は、端的には「文字社会の言語」を中心的話題にしているという強い自覚が必要だということである。人類の非文字社会に根差す「文化」が、国語に濃厚に反映している側面があるが、この点をくみ取れる配慮が必要だと申し上げる。

いま私が、このネット上でたまたま展開中なのが、『世界遺産とは何か?』というコメントである。その世界遺産の中に、最近「北海道・北東北の縄文期遺跡群」が世界遺産に登録されたという話題も登場する。19遺跡が指定されているが、それらは縄文時代1万5000年間といわれるなかの、さすがに古いものでもその半分の年数だが、それでも紀元前3000年前以来とか2000年前以来とかいうのはたくさんある。

何を私は言いたいかと言うと、たとえばヨーロッパを話題にして、メソポタミア・シュメール文化などという最古の文化は、紀元前3000年程度とみられており、その後ヨーロッパ・地中海でギリシャ・ローマ文化が栄えるのは紀元前後であろう。このメソポタミア文字社会が成立し3000年の盛衰を繰り返した同じ時期に、「北海道・北東北縄文遺跡」にみられる「無文字社会」が、農耕ではない形で定住化して、国家を形成することなく、永い長い期間存続していたという人類史上特別の地理的・歴史的状況にあった、そしてそのことを物的に例証する多数の遺跡をいま残しているというわけだ。(人骨もある。)人類史が農耕から始まるというのは、単純な思い込みで、事実は「人類普遍の定説」よりいささか複雑な地理的・歴史的事情を伴うとことがもっと人類に理解されてよい。そしてこのようなわが縄文時代研究から得られる知見は、きっと世界の先住民族を研究する手がかりになろう。さしあたり、北米と南米の、マヤ文明とかインカ文明とか、それ以前にありえた多くの先住民社会の研究に役立つような気がする。(そもそも米大陸に現世人類が入った経路は、3万年前ぐらいに、シベリア大陸を経由して入ったとされており、わが北日本に3万5千年--3万年前ぐらいに、シベリアから入ったとされる流れと、交錯している。当時この北辺は陸地がかなりつながっていたのである。)以上を要するに、「無文字社会」の文化(伝統)というものを、現在の人類は評価する必要がある。(まあ、さしあたり、AIさんはこの文化に入るのが不可能か、あるいは極度に困難であろうが。)

次回、コメントを書く時には、最初は、岡野原大輔さん「AI時代だからこそ身につけたい『軸』」という素晴らしい記事を、取り上げることにしたい。