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2025-11-22 08:22:00
トッド氏の著書、エマニュエル・トッド著、堀 茂樹訳『我々はどこから来て、今どこにいるのかか?』上巻「アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか」、下巻「民主主義の野蛮な起源」、文芸春秋、2022年について、私が簡単な読書ノートを書くつもりです。これを「トッド氏著」という共通でネットに載せます。ざっくりとした感想文で、各章一二度というぐらいおおざっぱです。読んでくださる人は、必ず本書を入手、読破なさってから、この感想文を読んでください。ろくに引用などしませんから、感想文だけ読んでも、ちんぷんかんぷんでしょうよ。/数日前に『トッド人類学入門』について数度感想文を書きましたが、あの企画の続きと思っていただいていいでしょう。/さっそく次回は、「我々はどこから来て・上巻」「序章 家族構造の差異化と歴史の反転」について感想文を書きます。/ご承知のように、2025年・今年・米国にトランプ第2次政権が登場し、アメリカフアースト政策と称して、超異例の世界関税政策とこれまた超異例の通貨ドルをドル建てステーブルコインを介して仮想通貨ビットコインと結びつける「仮想通貨アメリカ世界一」と称する政策を開始し、2025年夏までに両政策とも展開を終えました。さて、これがこれからどうなりますかな。ガラガラと崩壊するか、期待されているとおりに大躍進するか。そして2025年末に日本に、トランプ政権にぴったりと迎合する自民党高市政権が登場しました。(いい意味でも悪い意味でもこれほどトランプ政権に密着・迎合した政府は世界中で日本だけです)/トランプ政権はこれまで国際社会で当然とされていた「リベラリズム」に公然と反旗を翻しました。/個々に問題にすべきことは、いろいろの論理レベルで、山のようにあるが、世界全体で事柄がどういう論理構造になっているのか、なんの仮説もないのでは困るわけですが、同時に現在の世界は「空虚感・無力感」に襲われていて、およそ考える力を失っている感があります。このエマニュエル・ドッド氏の社会的歴史的人類学仮説は、立派な叩き台になりうる仮説と思います。トランプ・高市政権の帰趨がどうなるかみるのに先立って、トッド仮説の検討を急いでおく必要があると思いました。(日々現れるに違いないトランプ・高市現象を考えるときに、きっとすぐに役に立ちそうだという気さえします。)////たいへんに興味深いことに、どうやらトランプ氏はエマニュエル・トッド氏の著書を読んでいて、いわゆる常識とは違っていても、あえてトッド流の解釈を自分の政策実行のいくつかに読み込んでいる節があります。こういう点は気が付いた時に書いておきますよ。じつにトランプ氏とは、度し難い人物ですなあ。
2025-11-07 07:15:00
これは実は7.年前の2018年に米国で出版・発売された有名な本の題名で、"Fear:Trump in the White House."Simon & Schuster, Inc. by Bob Woodward
2018年である。日本でもすかさず翻訳、出版された。ボブ.ウッドワード著、伏見威蛮訳、『恐怖の男 トランプ政権の真実』日本経済新聞出版社、2018年、2200円+税である。この本は2010年の出来事から説き起こしているが、これはトランプ氏がオバマ大統領に対抗して立候補していた時だ。それにしても、ありていに言えば、この本の本当の出発点は、トランプ氏が「オバマ後」にヒラリー候補と大統領職を競り合っていた2016年の選挙戦であろう。どうやらこの著名な著者(ボブ・ウッドワード氏)は、2016年当時はヒラリー氏が本命でヒラリー氏が優勢だと思いながら、「選挙戦から大統領最初の1-2年」を描くため「ヒラリー氏を想定して」取材中だったのだろう。(じつにこれ、同氏の著名な著書『大統領執務室』で、ビル・クリントン第1次政権を描いたひそみだ)/私はたまたま数日前にブックオフでこの『恐怖の男』を220円で買い、内容を紐解いて驚いた。なんとトランプ氏のキャラクターが赤裸々に描かれている。この本が図らずもドナルド・トランプ版「大統領執務室」になったのだ。そして米国社会はすでに広範にトランプ氏の政治的キャラクターを知っていたのだ。『恐怖の男』の宣伝文として、「ここは、すべてが狂っている 衝動に満ちたトランプの意思決定を暴いた全米ベストセラー!」。ピックアップされているトランプ氏の言葉「真の力とは--この言葉は使いたくないんだが--恐怖だ」(まさに日本に異常な関税を強要するトランプのパワーは、「恐怖」だね。)//この人物の「エプスタイン疑惑」はなんとも名状できない醜悪さだが、この『恐怖の男』の示すところでは、すでに米国社会は、当時イギリス情報局秘密情報部のクリストファー・スティールがかいたという「スティール文書」で、トランプ氏がロシア出張中に行ったという奇怪な行動を話題にしていた。「トランプは、モスクワのリッッ・カールトン・ホテルのプレジデンシャル・スイーツに宿泊した。オバマ大統領夫妻がロシア公式訪問の際に滞在したことを、トランプは知っていた。売春婦を何人も呼んで、目の前で放尿ショーをやらせ、ベッドを汚した。」(同書109頁)なぜこんなことをトランプがやったかというと、オバマ大統領への嫌がらせである。どうしてこんな秘密事情が知られることになるのかというと、ロシア当局が秘密カメラを仕掛けていてそこに映っていたからだと(秘密情報員が何らかの手段で入手したのだろう)。そしてトランプ氏はそういうカメラの存在を十分に承知していたのだろうと。それ以上に姦しかったのは、ロシア疑惑で、ロシアが情報戦で大統領選挙に介入したのではないかという疑いである。この二つのロシア疑惑は、オバマ政権の知るところとなったが、オバマ政権はこの取り扱いに苦慮した。//ボブ・ウッドワード氏といえば、ニクソン大統領の疑惑を暴いて記事にし、それがニクソン失脚ということに決着したので有名になったジャーナリストである。おくれぱせながら今後トランプ氏の政治に言及するさいに、機会があればこの『恐怖の男』を参考に引用させていただくつもりだ。
2025-11-05 13:44:00
11/4 北海道新聞 1頁 「国際スクール計画 誤情報が拡散」。札幌市南区の常盤小学校廃校跡に、「グローバル・インディアン・エデュケーション」という東京の組織が、英語で授業し、初年度に未就学児から高校生までの50人程度の生徒を、国籍は問わず受け入れる考えだという。(なお道新18頁の記事では、別の経営体によるインターナショナルスクールが東区にすでに存在していて、これはサッポロ・インターナショナル・スクールと言って、エジプトやバングラデッシュ国籍を中心に3歳ないし14歳の生徒を50人受け入れているそうだ。こちらは地域でトラブルなく暮らせるよう日本語を必修科目とし、生活ルールも教える、住民参加イベントなども開いているそうだ。なおニセコ町にインターナショナルスクールが2校ある由。)
//「札幌市は一連の混乱を受け、市の公式サイトに10月29日に事業者選定の経緯や計画の内容をまとめた専用ページを開設。インターナショナルスクールの誘致を積極的に進めてきた経緯を伝えている」とあったので、私は早速札幌市のホームページを開き、あちこちみたが、関連していそうなことはさっぱりみあたらない。そこで札幌市の索引欄にあえて「インターナショナルスクール」と入力して検索したら、そのなかに【PDF】07 it gif (minijou108)cnn pdf pd5 」というファイル集が出てきた。その内容は、札幌市共生社会条例の停止ないしは廃止を請願する請願者の書類の写しで、たしか百数十通ある。請願者の居住地と氏名を明示している。//どうもこの南区のインターナショナルスクール開校案は、札幌市としては何の問題もなく札幌市共生社会条例推進の目玉の一つぐらいに考えていたのであろう。ただ開校説明会が混乱して流れたので目下休止しているだけだろう。この南区インタースクール開校の件に対する争論というのは、どうも元来が札幌市共生社会条例の趣旨に疑問をもつので「その運動の現在の一部」とみなされたもので、これはもう単に地区運動という次元のものではない。名は地区や地方やだが、これは例のトランプ米国大統領が巻き起こした「リベラリズム批判」の動きに、日本が日本的に反応した動きである。//それにしてもこのネット上に、住所、氏名まで明示して、自分の立ち位置に具体化した意見として現に目の前に提示されている、これらの文章をお読みになったらどうか。単純に賛成とか反対とかでなく、少しは自分の頭でかんがえてみよう。//それにしても札幌市はもっと見やすい情報提示を願いたい。
2025-11-05 07:01:00
最近、小室直樹『数学嫌いな人のための数学』東洋経済新報社、2001年を手にする機会があって、そこに示されている「論理のありよう」に、ショックをうけている。小室氏は「形式論理学」の骨組みを解説していて、私はこの「何気ない」解説の展開に目下圧倒されている。なにが「何気ない」どころか、恐るべき高度に知的な解説であろう。私の微才でもそれがわかる。そもそも私が若年のみぎり習った「論理学」では、「論理の組み立て」を、「1.宗教的論理、2.言語的論理、3.記号的論理」と説いていた。当時私は「この3つの論理」を別々の類型のように理解していた・たんに歴史的に1から2、2から3と発展したというように。教科書の著者や正確な題名は忘れた。しかし教科書それ自体にはこの3形式が「論理的に発展してそうなっている」ようには書いてなかった。ところが小室氏はこの著書で、それを「発展したように」解説している。ただ、正確のために断っておくが、小室氏の解説は、大変に歴史具体的に、イスラエル一神教の論理からギリシャ哲学におけるアリストテレスで大成される形式論理学、そして近代欧州の政治的には民主主義、社会的には資本主義の、いわば原始的リベラリズムの思考の発展に伴っていた科学的思考が、数学のような巨大な記号的思考の発展となって、これが非形式論理を展開するという思考上のパラダイムシフトとなった、と仰天の解説を行っている。この解説でいいとか悪いとかいう(当然に論理的にいわねば言ったことにならぬが)以前に、まずこの解説を正当に理解する「だけで一苦労している」。
//ただいま、11/5 Wedge配信 「世界を覆うリベラリズムの危機 日本がまもるべき価値観...『日本人フアースト』はなぜ誤りなのか?」と、それにつけられた77通のコメントをみていると、この争論ではいったい論理というものはどうはたらいているのか、大いに迷う。コメント側の諸氏にこの「問」をつきつけるのはいかにも酷だ。Wedgeさんのほうに問うほうが妥当だろう。いささかなりと言論に携わるお人が筆者ならなおさらのことだ。//
上記の文でお分かりのとおり、この小室さんの本は25年前の本だが、図書館ならあるでしょう。小室さんという人はたんに保守反動で片づく人ではないようですよ。逆に「リベラリズムの極致」ではなかろうか。//
上記の私の文で、「言語的論理」(論理学の教科書)を「形式論理学」(小室さんの本)と言い換えてしまっている。それに小室さんの本では、ユークリッド幾何学がギリシャの形式論理学の粋であるので、形式論理学から数学に代表される記号的論理への「普遍的思考」のシフトを「非ユークリッド幾何学の出現」という契機で説明しているが、これはむろん、ユークリッド幾何学が無効として消滅したという意味ではなく、それが限定的な性質のものとして確認されたということである。(数学は、幾何学という形では古代あるいはそれ以前、からあったが、近代は「平面」という空間意識を極限にまで拡大したから、もう代数とか関数とかいう概念で表すほうが合理的になつてきた)。 当然に形式論理学も言語的論理の世界では生き残る(ただ、哲学的に、多くの新参者たちに挑戦される)ことになる。//
それにしてもギリシャのソクラテスの強調したような「定義」を重視するありよう(形式論理学的には、これは「同一律」)まで消えるわけではなかろう。//
つまるところ、Wedgeさんに問うところは、あなたのキーワードの定義と、理論展開中のその定義の維持だけは、はっきりしてくださいよ、と「リベラリズム的」(ソクラテス的)注文を付けている、だけである。さもなきゃ論争しようもないじゃないか。
2025-11-04 07:07:00
11/3 北海道新聞社説 「国連創設80年 多国間主義再興の時だ」。/国連の理念が米国等連合国が定めた国連憲章により「武力行使の原則禁止や人民の同権・自決権の尊重、法の支配と対話による国際秩序の維持にある」と改めて今日の文化の日にふさわしい「国際政治という人類の文化」を寿いだ。しかし上記の文章は実際には「対話による国際秩序の維持を定めたはずだ」、で結ばれている。残念ながらこの文化の日という祝日は、国連憲章という人類のレガシー(伝統)を寿ぐのではなくて、レガシーが破られていることを「熟慮検討して、吟味して反省する」「国民的な日」となった。いずれ政府から、反省の演説があってしかるべしだろう。/「1956年に国連に加盟した日本は、平和憲法に基づき、国連を通じて世界平和と繁栄に貢献する国連中心主義を掲げ、現在の国連分担金は米中に次ぐ第3位である。」確かに戦後80年間の国連の活動は、国連の重要な機能である常任理事会が往々常任理事国の拒否権で機能しなくなるという問題で十分に効果を発揮しないという欠点を抱えていて、安全保障体制の改革が懸案である。/それにしても最近のトランプ米国政府が多国間協議の枠組みを尊重せず、国連分担金も出し渋るなど、元来が米国の主導でできた国連体制を軽視しているのは遺憾である。/高市首相は国際仲介で国際対話を促がし、国際協調の発展に貢献するような役割をめざすべきだと、社説が結ばれている。/今日11月4日から国会が開かれる。国会の場ででも、改めてご討論を伺いたいものだ。