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2025-07-16 10:00:00
市場のルールは、政治が決める。そこで政治不在になってしまえば、経済社会は国民の手から離れてしまうことになる。現代は市場に代表される経済社会の施策が前面に在って、経済社会の施策の動きに紛れて、いつの間にか市場のルールが変更される、という事を繰り返している。「市場のルールは政治が決める」ことを、国民が強く念頭に置くべきだ。そういう意味で、市場より、政治が大事、なのである。米国の政治学者、ロバート・ライシュ『最後の資本主義』東洋経済新報社、2016年が、トランプ政権に先立つ米国80年間の政治経済を回顧しての力作の、主要な結論である。/ハンナ女史の「経済社会は二の次にして」国政を人の世の最大関心事とする、という主張では「わかりにくい」人も、このライシュ氏の、現代に即した政見なら、理解できるのではないか。まあ、同じことを言っているのだが。//ライシュ氏は本書でこう説くのだ。世では当たり前のように、「市場が大事か、政府が大事か」という問いかけをする、そして、「規制のない」自由な市場こそが、市場の発展と存続のために大切ではないかという具合に、「規制撤廃」の大合唱をするが、「市場か政府か」は「二律背反」のように言われるのが大きな間違いのもとだと。
2025-07-16 06:43:00
実をいうと、私はいま、ハンナ・アーレントという欧州から米国に帰化した政治思想家のことを書いた本、『全体主義の起源』、『人間の条件』などを手がかりにハンナ女史の思想を理解しようとしていた。動機は、いまトランプ氏が米国に建てた覇権は、「全体主義」に通じるものではないのかという強い疑いを持ったからである。このハンナ女史の議論は難解を極めるもので、何度も同じところを読み返したりしているのだが、現在の日本の政治状況は、ハンナ女史が一番いいたいことにピッタリ符合する。わたしは、ハンナ女史のいいたいことをこうまとめよう。/人の世で、基本的に重要なことは、国政である。国政の主権者とされる国民の一人一人が、政治を考えることができる最低限の生活のゆとりを、経済社会の多くの利害得失を二の次にして、確保されてあるべきである。/どうだろう、わかりやすくすれば、日本人の各人が、しかるべき新聞を購読し、この新聞の少なくとも政治欄をゆっくり読み、家族や知友と政治を語る、というぐらいの生活の自由とゆとりを持つことが、大事ではないか。(たとえとして申し上げたので、強制する気は毛頭ない。それにいま話題の「外国人」のほとんどは、残念ながら日本の新聞を読む力がないものね。)/この「経済社会の多くの利害得失を二の次にして」というところが、現代にあって、特に重要なところだ。そしてハンナ女史の議論が「難解」とされるのも、この論点に関わるからである。
2025-07-16 06:21:00
参政党の躍進予想をはじめとする参院選関係ニュースは、いまかつてなく大量に行われる日本のビッグイベントとなった。国政選挙というものが本来あるべきビッグイベントになったのだから、それが驚きになったという驚きだ。このネットの上では、テレビが連日報じる各党選挙運動の様子を、すかさずネットが引き取ってコメントするという連続動作が連日続いている。そしてスポーツ系新聞のオンライン版の活動が活発で、新聞はたいへん控えめだ・ただ、いざ紙面に載せる段になれば、スポーツ系新聞はなけなしの「社会欄」というスペースしかないから、スポーツ紙の紙面にはそう出てこれない。/それにしても、投票日はまだ数日先なのに、自公議席の激減、立憲の現状維持、諸野党の伸長、とりわけ参政党の中堅野党化、が予想されるほど、明瞭に国政が「動く」と見てよい。「民意」が明瞭だから、自公内閣は退陣し、なんらかの連立政権が模索されよう。/ここで改めて問わねばならないのは、私たちの世の中で何が基本的に重要で、無視することを許さないのかという議論である。つづく(こういう切り口でハンナ・アーレントを紹介するのはまことに時宜と思う。)
2025-07-16 05:57:00
7/15 7:17 プレジデント オンライン配信。「そりゃ 参政党に票が流れるわけだ..5割の自民支持層に見放された石破政権が自ら作った"最大の敗因" 自民党支持者の『自民離れ』を招いた根本原因」 文章 城本勝 ジャーナリスト。元NHK論説委員。久米晃氏に選挙公示日直前に行ったインタビュー記事である。ぜひご一見されよ。いまネット表面にはないが、この文章は「プレジデント オンライン」という著名な発信元なので、「プレジデント」と検索さえすればすぐ見られる。ただし、大変に残念なことに、「プレジデント」に用意されている記事には、私がこの記事をみてたいへんに感慨が深かった「記事にたたいするツイート記事」(私がみたときには997通あった)が、もうついていないことである。もう「プレジデント」の「私有財産」になってしまったのだ。(ぼやいても仕方がないのか。これはグーグールはじめ多くのプラットホームがやっていることであるから。「テクノ封建制」という超富豪の「めしのたね」になっている「根本原理」であることはみんな知っているが。)つづく
2025-07-14 05:18:00
7/13 19:40 Newsweek 日本版 配信。国際ジャーナリスト 小田敏弘氏の執筆。「『これが自衛ですか? これは戦争犯罪です』...パレスチナ大使が語ったイスラエルとの葛藤にハマスへの思い」。〈パレスチナの立場から見たイスラエルとハマスの軍事衝突の「現実」と「本音」とは。駐日パレスチナ常駐総代表部のワリード・シアム大使インタビュー〉/この長文のインタビュー記事は、現在人道危機下にあるガザについて、パレスチナ側の偽らざる気持ちを述べている。ご参考に供したい。/同じ筆者の山田敏弘氏は、過日、イスラエルがイランを攻撃したことについてのイスラエル側の偽らざる気持ちを、駐日イスラエル大使にインタビューして聞いており、このインタビュー記事が、パレスチナ側のインタビュー記事の成り立つ直接のきっかけになったという縁がある。こちらもぜひご参考に供したい。前半がイラン攻撃の事情、後半がガザ攻撃の事情である。6/25 Newsweek 日本版配信。「ナチスによる悲劇を『繰り返すわけにはいかない』イスラエル大使が語ったイラン攻撃の狙いと成果」。/ごらんのようにナチスによるユダヤ人大虐殺を語り、第1次大戦終結時にさかのぼる欧州のユダヤ人敵視の歴史に言及している。/つまり、事はイスラエル建国とイスラエルとアラブ諸国の対立以前に胚胎していることを述べている。/さてこうなると、キリスト教国なら、あるいはイスラム教国なら、ツーカーで事態の背景が「常識?」なのかもしれないが、わが日本と日本人は「非常識」をかこつほかない。しかし知らずにすませるというわけにはゆかないようだ。まったく別の機縁で、いま私は、欧州を亡命して米国にきた故人、ハンナ・アーレント女史の思想を、「全体主義の起源」や「人間の条件」などの女史の著書を手掛かりに考えている。たいへんに難解な思想である。直接の動機は、現在のトランプ氏の米国は、あたらしい「全体主義」ではないかという強い疑いを持ったからだ。ハンナ・アーレント女史の思想は、西欧の市民革命期にさかのぼって、ここで築かれたという「民主主義」には実は大きな「偏り」があったのではないかとしている。「ユダヤ人とは何か」ということが歴史的に徹底して論じられている。ハンナ氏自身もユダヤ人である。彼女の狙いは人類の現在と将来を憂えることにあるのが明白。