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2025-09-08 15:15:00
北海道新聞、9/7、2頁。掲載記事。「EU、グーグルに制裁金 競争法違反5千億円 米は対抗措置示唆」。EUの欧州委員会が、EUの独禁法違反で、グーグルの広告の運営について、「広告技術での優位性を乱用し、公平な競争を阻害した」という罪状を咎める、というわけだ。//最初にはっきり申し上げておくが、この件は、数日前の米国司法のグーグルへの判決とは、独禁法違反という点では同じでも、「罪状」の趣旨が異なっています。米国司法の場合は、「グーグルの検索を使って、私たちが検索活動をすることそのものが、新たなデータを生み出している」そのデータの使用のあり方を問題にしている。「消費イコール生産」という仕組みになっている、私たちが生産したデータを、例えばAI開発のために使うことをグーグルが禁止することはできない、という趣旨である。これはWEB2.0特有の技術のありように伴う「新たな、法的常識」を社会的に樹立するものだ。それに対してEUの今回の裁定は、独禁法の普通の常識に従うものだ(この普通の場合の判断の是非は、私にはにわかにはわからぬ)。それから朝日新聞だったかと思うが、AIの使い方では、公序良俗に反する動画の作成などの「自由」は、AI技術者にはないんじゃないかという話は、それはそれで成り立つ「正義の話」だろう。これらは人間の文明が避けては通れない法的話題なので、法律専門家がまともに論じていただきたいものだ。なおこのEUの独禁法違反事案は、トランプ氏が猛反発しているようだが、トランプ氏は、米国司法のグーグルについての判決の方には、何も反応していないのかね。
2025-09-08 11:03:00
とうとう石破首相は退陣を表明した。この人の在任中にどんな画期的な政治をしたのかという思い出は、残念ながら何一つ残らない。米国との関税交渉というが、赤沢氏を使いとしたこれまでの交渉では、とくにこれが石破首相の政治的お手柄というほどのことは残念ながらない。この程度のことなら旧安部派の茂木氏を起用しても十分にできたろう。まあ私は、戦後80年のあいさつを石破氏らしくやってほしかったが、党内に遠慮して自分らしさがだせなかったようだ。ご苦労さん。ポスト石破には全然期待できない。小泉や高市を出してきても、石破以下だろうと思える。根本的に新しい人材を発掘していただきたい。
2025-09-06 16:12:00
9/6 北海道新聞 1頁、3頁、10頁。掲載記事。「車関税下げ、米大統領令 15% 2週間以内に」1頁、「米の言い値で投資も」および「日本の投資確約 手柄に」3頁、「車業界ひとまず安心」10頁。その他「社説」もある。/以前日本のお使いである赤沢氏が、トランプ大統領の在席を前にして「ディール」を行い、「締結した」として赤沢氏とトランプ氏が握手している写真が新聞に載った。//今回赤沢氏が訪米して、大統領が自動車関税15%とする大統領令に署名したから、いずれ連邦官報に掲載され、2週間以内には実施されようというのは赤沢氏の説明。これは以前に「握手」したときの話そのままで、そもそもまだ実施されていなかったというのがおかしな話。/もう一方の例の80兆円を日本が米国に投資するという口約束は、最近米国側がしきりに文書化したがっていて、日本側がそれに押し切られた形。しかもなにやら初めて聞くような話まで「文書化」されたようだ。そもそもこの80兆円文書は、いったいなぜ・何のために締結された「文書」かという点があいまい。まあ大体は以前からの赤沢氏の説明どおりだが、ただ、80兆円が、「政府系金融機関・国際協力銀行などの関与が前提という「以前に赤沢氏の説明にあった点」が今回は文書化されていない。そうすると、80兆円はもっぱら日本企業の対米投資活動によることになるが、「米国側の投資委員会とかが、日本企業の投資対象となるような案件を次々と提示できるイメージは湧かない」(丸紅経済研究所・今村卓社長)道新10頁と、さすがに要点を衝いている。私もまったく同感。今度のディールは赤沢氏とラトニック米商務長官の「妥結の握手」写真が道新にのっているが、狐さんと狸さんかもしれないね。まあ両国民が納得すればそれでいいんだろう。道新さんの社説「日米関税文書化 経済への悪影響変わらず」。全体に米国が理不尽で日本経済に悪影響をもたらすものだが、さりとて、批判も拒絶もあまりできないというまあ得体のしれない文意になったのも致し方なし。
2025-09-04 18:45:00
9/4 Forbes Japan 配信記事。「グーグルへの『制裁回避で急騰』したアルファベット株、買わなくていい理由」。米国で地裁がグーグルの独占を妨げる判決を下したことの詳細が述べられているから、ぜひご精読されたい。記事は3面にわたる詳細なもの。ところがそれに対するツイートはたったの2件。せっかくGAFAMの過度の独占を妨げる米国の政治的決定(司法裁定)が出たというのに、普通の人々の関心がなかなか追いつけないのだ。/これは現代の科学・産業・技術の中心話題であるWEB2.0レベルの「プラットフォーム」という概念にかかわる政治的(司法的)判断の筋道を示している。法律の専門家を自任する方々が、知らないでいられることではない。奮起されたし。(すでにWEB3.0のブロックチェーン技術がホットな話題になっている。さらに、もう5年もすれば、量子コンピュータが現実的判断を出してくると予想されているぞ。)「プラットフォーム」は入口であろうが。//グーグルを検索する人々が、「検索」という「消費」を行うことで、同時に「データを生産している」のだ。これを「消費・生産」と言い表した。産業的に言うと工業化社会では、経済過程は「生産--流通--消費・そして再生産」と表示される(古典派経済学または国民経済学以来)。しかし工業化社会以前の農業化社会では、何百年もの間「生産・消費」だった(つまり流通でつなぐ必要がなかった。何百年も続いた共同体社会では、共同体内部で基本的には自給自足していたのである。「共同体の外部」から「外国人」が商業と貨幣の使用を間欠的に迫っていた。)つまりこのWEB2.0で示される「社会構造」は「先祖返り」なのだ。ただしスパイラルは高度だけどね。そういうパラダイムシフトが行われているのだ。/だから、いま仮想通貨で、「通貨」と「仮想通貨」を結び付けようとしているようだが、「通貨」というものの歴史的・論理的ありようが「工業化社会」そのものの類推程度ではとうていかなわぬことだ。法律等を研究してこられたあなたの頭脳を人類のためにぜひ生かしてほしいのだ。文科系の知恵も必要なのだよ。/ちなみにここに私が述べた理屈は、あなたもよく読んだはずのアルビン・トフラー氏の議論の範囲だよ。トフラー氏は、1950年代後半から2025年までの期間に、「知識・情報産業」というものが時代をしっかり支配して、世界を変えるぞと言っている。文科系の人々の多くがこのトフラー氏の議論を「未来学」とか呼んでもてはやしたが、今思うとその思考に全然内容がなかったな。(そういう組織はまだそのへんに転がっているよ。)いま私たちの目の前で現実化しているのが、まさにそのトフラー氏が言った「知識・情報産業」であろう。
2025-09-04 09:18:00
中國で行われている世界大会は、あたかも反米国際集会。反米と言うのを憚って「反日」という建前にしている。まあ日本が米国の忠実な同盟国だから。/グーグルの検索事業によって集めたデータの独占を禁止する米国の司法判断は、GAFAMの世界覇権に対する政治によるチェックを示すもので、3頁にも大きく特集しているが、この記事の方が「世紀の記事」(と私は思うよ。)/グーグルが検索事業を通じて集めた膨大なデータはいうなれば人類の公共性をもつ文化遺産。いま中国も日本も米国も欧州もAIの開発を競っているが、AIの活用に際してグーグルが所管している膨大なデータを材料として生かすのは人類にとって必然。グーグルはそれを妨げるなという司法判断だ。世界中の司法はそれに倣うべし。/そもそもグーグルのプラットフォーム上で行う私たち人類の「検索」は、従来の経済学の掲げるテーゼでいうと、私たちの生存・生活が「生産--流通--消費」で成り立つという際の「流通」をなくして、「生産・消費」むしろ「消費・生産」というか、直結するものである。ここにパラダイムシフトが起こっている。また後で書く。