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2017-12-28 23:01:00
私は以前、年齢の異なる何人かの人々と、哲学の討論会をしたことがあった。あるとき、継続して出席していた若い女性の出席者が、私に面談を求め、こう聞いた。「人は、死んだあとどうなるのですか」★この問いは、明らかに、「私は、死んだあと、どうなるのですか」という問いである。そしてこれはおのずと、「あなたは、死んだあと、どうなるのですか」という問いでもある。★私はこう語った。「あなたが共に生きた人の心の中に、あなたが生きています」★この哲学の討論会は、1年ほど続いて、終わった。参会者間の交際は、その後ない。そもそもこの会合は、私も、参会者も、その外部で作られた枠の中で起こり、終わったものであるから、たいへん熱心に、参会者の中の数人は心を傾けて語り合ったが、自分で自主的に作った会合ではなかったので、「終わって、消滅する」のは致し方ない成り行きであった。★だが、たとえ成り行きが何であろうと、「人が、死んだあと、どうなるのか」という対話は、私とその女性が自ら生み出した対話である。消すことはできない。★哲学の会合にあって、この対話は、宗教的性質の対話である。形而上学どころか、いわばドグマたらざるをえない。ひとにはドグマも必要なのだ。★論理的には、この話の外側に、もうひとつ広い世界がある。「共に生きた」ということの中には、直接的な関係ばかりではない。たとえば、ある歌手の歌唱が、多くの人々の心に残した思い出のような性質のものもあるはずだ。この「共に生きた」世界は広々としているが、同時に間接的でもあることは免れないであろう。ひとによっては、こういう広い世界に強く期待する。
2017-12-25 10:36:00
北海道新聞29年12月25日号10ページに、「ゆっくり送れる家族葬」という記事が載った。これを参考に自分の葬式を設計してみよう。 ★親族・知友10人程度の招待で、自宅仏壇の前で葬儀会合をする。寺は呼ばない。戒名はなしとする。近所の人々も呼ばない。香典はなしとする。各自に個人の思い出を語ってもらう。簡単な形見分けはできよう。(後日お別れの会をすることもあるかもしれないが、なるべくはしないほうがいい)焼骨、合葬は親子だけで行う。「葬式会合」に出た遠隔地の人を当日の夜、定山渓温泉にでもハイヤーで送って、泊まっていただく。(つまり、流れ解散) ★世間的に見れば、まさに「雲隠れにけり」だな。 近所で行われた(らしい)最近の葬式は、多くが、近所にまったく知らせずに行われた。(後でわかった)。こういう時代の流れであろう。
2017-12-25 10:16:00
これは最近手にした「衝動的」内容の本の題名である。児玉 修『仏教崩壊』文芸書房、2003年。 ★本書は、葬式仏教という現在の日本仏教の在り方が、仏教寺院の檀家制度の所産であることを、すっかり見抜いている。きれいに見抜いている。★しかし本書には、仏教という宗教のありうべき再興についての、願いがこめられている。この点にこそ本書の読みどころがある。この願いがあるがゆえに、本書には、現行の仏教寺院と僧侶の宗教的覚醒を促す材料がいくつか、示されている。いってみれば本書は、現代日本に必要な、日本仏教の宗教改革を促すものである。 ★本書が、合葬や、末期医療や、ホームレス問題を考えるのは、たんに檀家制度批判だけでは、仏教という宗教が再生する契機がまったくないと考えるからであろう。★いわく、葬儀に真の祈りを取り戻すために、合葬を考える。★いわく、末期医療において、僧侶が欧米のキリスト教のチャプレンのように、死を前にした患者に寄り添って、人が死とどう向き合うのかを考える。★ホームレス問題において、寺院を社会事業としての基盤として役立てられないかを考える。★要は、あまり形而上的大問題に考えないほうがいいのかもしれない。多くの宗教家は大げさな思弁を重ねながら、シンプルな大問題を回避している。 ★これこそがわが「シンプルライフプラン」の要諦であり、わがブログの眼目かもしれない。
2017-12-10 20:11:00
当館で海外から3カ月居住の照会があったが、短期滞在であっても仕事の都合上毎日数時間ネットを使いたいという。そういう場合、日本ではどのような扱いになるか。★いま当館ではNТТのBフレッツを入れている。しかしこれには3カ月の短期滞在という契約はないと思う。ケーブルテレビ「ジェイコム」にも契約すれば入れるし、これだとテレビのほかに電話もネットもできる。しかし3カ月だけという契約はないと思う。強いて契約して3カ月で破約するとかなりの「罰金」を課せられるだろう。携帯電話でもスマートホンでも、日本の契約はたいてい2年間なり3年間で、途中破約はたいそうな罰金をとられる。だから携帯電話やスマートホンとノートパソコンをつないで使うという考えも、成り立ちにくい。★そもそも外国人用の契約は、「一日700円」のように、一日単位で、日決めで、行われている。「数日間」ぐらいしか想定していないのだ。空港や食堂で、「無料でつなげるネット」というのがあるが、「その施設にいるとき限り」である。★当館の住人に聞いてみた。彼のいうには、「ポケットWi-Fi」というのがありますよ。これは「1週間」から契約できるそうだ。「月の契約なら」と聞いたら、月額6000円ないし8000円であると。くだんの機械を右ポケットから出して見せてくれた。文庫本の半分ぐらいの大きさ。彼がいまいる当館の部屋の電波環境は素晴らしくよく、「ばっちり、働く」そうだ。これによって何台もの機器が同時に動くそうだ。★3カ月と決めた契約はほかにもありうるようだが、どれだってこのポケットWi-Fi程度はする。★ただし、契約する本人の身元がしっかりしていなければ、身元確認の点で契約を拒絶される場合があろうと。★これを要するに、ふだん生活している日本人よりも、4倍ぐらい高い料金をとられることになりそうだ。
2017-12-10 10:59:00
北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手は、2017 年秋、米国大リーグへの移籍が話題になっていた。それが、このところ、ロサンゼルス・エンゼルスへの移籍と決まった模様。「投げて、打つ」二刀流が米国でどう発展するか、大いに期待している。★ところで私はこのほど、ロバート・ホワイティング『世界野球革命 The Samurai Way of Baseball, Robert Whiting』早川書房、2007年という本を図らずも手にして、大いに興奮している。この『世界野球革命』は、2004年にすでに発刊されていた本 The Meaning of Ichiro を主要な内容として、それをさらに書き増した本だ。この本の主な話題は、イチロー選手の登場、米国大リーグへの移籍、世界のイチローへ、という1990年代に始まって今日に至る30年ほどの日米野球史の激動を把握することである。ちょうど日本のバブル崩壊以来の「それまでの日本の政治・経済の清算」期が、野球史では反対に「日本野球世界化」の輝かしい期間となった。この「背理」の面白さよ。野球史30年間がこれほどダイナミックなパースペクテブを用意するとは! (もっと語りたいことは、後日に回そう) ★そしていま二刀流大谷翔平選手の登場。かつて在日時(1990年代)オリックスであれほど活躍していながら、日本人も日本野球界もそれほどフィーバーしなかった。それが渡米してイチローが神のごとき発展を続けると、さすがに鈍感な日本人と日本野球界も喝采を惜しまない。(いつのまにか巨人一強という常識は覆っていた)★さてこれまで北海道という僻遠の地で投打ともに並外れた能力を見せつけながら、日本と日本野球ではその評判が内輪であった天才が、いよいよ渡米することになった。私は期待するぞ。イチローの場合がそうだったように、事柄がいつの間にか日本の政治と経済をでんぐり返すことを期待するぞ。イチローの渡米以前は「巨人、大鵬、卵焼き」という「日本にとって当然の名文句」があったね。いまや跡形もないぞ。★そうだ。大相撲とも対比してみよう。どちらもスポーツ国際化の姿だが、対比すら不可能かな。太陽の前にろうそくを置いて比較するようなものかな。★大谷君、達者で、頑張れよ。