日記
12/29 筋のいい英文ソフトウエアは、パラグラフ・ライティングを当然とする
私はたまたま1980年代の米国で、大学教育の第一歩が英文のパラグラフ・ライティング教育から開始されること、当時の米国で標準的な英文ライティングのソフトウエアが、「ワードスター」であることを知り、さっそくワードスターを実用に使っていた。日本に帰ってきて気が付いたのは、日本の英語教育がごく少数の大学を除いて、たいていの場合、パラグラフで書く心得がないこと。ワードスターなど全く知られていないことであった。/実はパラグラフ・ライティングに「なじんでいる」場が、日本でただ一か所だけあった。それは英文ビジネスライティングという世界である。日本風に言うと、商業英語・貿易英語だ。商工会議所は商業英語の検定試験を毎年おこなっいた。貿易通信文は、英文である以上、パラグラフ単位で書かれている。(ただし一度の執筆では数パラグラフで済むけどね。)「商業英語の担当教師」というものが商業学校で教鞭をとっていたが、この経歴のある人こそ、日本の英語教育界では、「隠れた」英作文の専門家である。(北星学園大学でその人ありと内部では知られていた矢口先生など、そのような経歴をお持ちの英語の名人で、英文で詩など書いておられたよ。若い時には宮城県の矢本基地付近で英語の腕を磨かれ、東北学院大学をお出になった。)/なに私も商業英語・貿易英語出身である。/ワードスターを紹介する会合を開いたら、おかしなことに日本人は一人も現れず、来たのはすべて米国人の日本滞在者だった。ワードスターの出来が良いので、ソフトの説明だけしていれば、英語のスピーチなどしなくとも、ソフト自体が使い方を知らせるようになっていた。/私は商業英語をパソコン室を使って講習すべく、まず「組織」に対してワードスターを採用・購入してほしいと依頼した。ところが「組織」の「コンピュータ委員会の委員長」である統計学者が、「ターボパスカル」というソフトが入れてあるからそれで間に合うと言う。ターボパスカルというのは、「行単位」でしか入力できないのである。この日本人の文章感覚が「行で書けばよい」というわけだ。「そりゃあなた、コンピュータのプログラムを書く時にはそれでいいかもしれないが、英文は段落単位なのですよ。ワードスターでないとそういう処理ができないのです。」/これで結びます。いまの私は、この時の頑迷なコンピュータ委員会の委員長の感覚になっていた。ワードスターのほうの感覚にもどればいいだけだ。/そして改めて思うには、wordは、そのまま英文ライティングに使えるのです。特別の英文ソフトはいらないのです。/ただ、日本文を段落で書くという感覚が、日本人一般にポピュラーになつているだろうか。高等教育を受けた一部の日本人に限られるのではないか。/しかも、ワープソフトを必要とするほど、長い日本語の文章を書くのが日常的な人は、何パーセントいるのか。